カテゴリ:2017年7~9月



30日 9月 2017
2015年から半導体業界の再編について、①アバゴ-ブロードコム統合、Qコム-TDK提携等のRF系再編、②サンディスクのWDによる買収や中国の動き、そして目下の東芝メモリ等のNAND・DRAMを巡る再編、③ルネサス等を巡るSTマイクロ等の欧州系、更にNビデアやモバイルアイ等GPU系も含めた車載やカメラ等の再編、④アナログ中心、特に国内中堅の再編、を示唆してきた。...
24日 9月 2017
9月12日に、iPhone8/8+/Xが発表された。スペック等は、電池容量など一部不明な点もあるが、ほぼ予想通りでありサプライズはない。 斑模様だがフラッシュはNAND、NOR共に不足、DRAMも再び深刻...
24日 9月 2017
 元日経新聞記者の大西氏に続いて、朝日新聞記者の大鹿氏が東芝を批判する本を刊行した。「東芝の悲劇」というタイトルで、西室氏から綱川氏までの歴代社長を断罪し、人災だと決めつけているようだ。もちろん、歴代トップ、特に、90年代後半から実質的に経営を執行してきた西室氏はじめ、岡村氏、西田氏、佐々木氏は、現在の東芝の苦境についての、多大の経営責任はあろう。また、西田氏から佐々木氏、は、WH買収や不正会計も含め極めて重い責任は免れない。室町氏も、S&W買収等の責任は重い。しかし、責任や原因は、歴代トップだけではない。歴代の役員も同様だろうし、社外役員も同罪だ。 任命責任  粉飾、不正会計や、WH買収などの経営責任というなら、西田氏、佐々木氏であり、田中氏は、西田氏の下でバイセル取引を行っていたという意味では、調達部門の役員や社員としても責任は重いが、トップとしての責任ではない。 また、室町氏に至っては、半導体、特にメモリでは不正会計は指摘されておらず、唯一、経営責任があるというなら、S&W買収であり、むしろ、苦境の中で尽力されたともいえよう。 更に、現社長の綱川氏に至っては、決断が遅いとの批判はあるが、それはかつてのカリスマ的トップダウンを避け、慎重に対応したともいえ、もちろん、不正会計もWH買収も無縁であり、むしろ厳しい中での、リストラや今期の最高益更新など功績を評価すべきだろう。 では、問題のある西田氏などを後継指名とし、また、奥の院から、実質的に経営を担っていたとされる西室氏はどうか。もちろん、執行責任も、任命責任などはあるが、この批判は片手落ちである。 指名委員会の責任 東芝は多くの会社に先駆けて、2003年に委員会設置会社に移行した。つまり、後継トップの任命責任は、指名委員会にもある。歴代社長を批判するのなら、同時に、社外役員を務めた有名大学教授なども断罪すべきだろう。 戦前、戦争を煽り、戦後は全てを軍部に押し付けたマスコミ  この著者が過去において、歴代社長をどう取り上げていたかは不明だが、少なくとも、多くのマスコミは、かつては、西室氏や西田氏を絶賛したことを忘れ、業績が悪化、不正会計も出て、まさに、水に落ちた犬を叩くが如き姿勢は、かつて、戦前は軍部を絶賛し、戦争を煽ったのに、戦後は、全て戦争責任を軍部に押し付けたことから何も変わっていない。もちろん、マスコミだけでなく、そういう評価をする側としてのアナリストにも責任はあろう。 アナリストとしては青井社長から  アナリストとしては、青井社長以降、綱川氏まで、説明会などで質問、意見交換しているが、実際に、個別に面談・対談・会食などの経験があるのは社長就任前も含め、青井氏、佐藤氏、西室氏、岡村氏、西田氏、室町氏、綱川氏である。佐々木氏と田中氏は、説明会だけであり、名刺交換もしていない。また、同時に、この二人は、機会があっても、参加する気にならなかった。  社長の就任、人事については、外部に出てこない、多くの要素の結果である。これは、政治家が大臣などに内定するが、不祥事で外れるのと同様だが、会社だけに、そこは表に出てこない。しかし、書物にもなり、有名な例では、かつてのソニーの複数の例があり、まさにドラマそのものだ。それ以外にも、多くの例で、表向きの発表とは異なる機密の背景で、人事や戦略が決定されたこともある。 情報の4象限  会社の情報には、二つの軸があり、重要情報と非重要情報、開示情報と非開示情報がある。重要かつ非開示が機密情報であり、まさに、一部のトップが「墓場まで持っていく話」だろう。われわれは、常に、得られる情報が、この4象限のどこに位置するかを見極めないといけない。 歴代社長  青井社長との面談は、レポートにも書いたが、正直、若手のアナリストからは雲の上の存在であり、評価できるどころではなかった。佐藤氏は、あまり印象はない。  西室氏は、長いお付き合いの中で、マスコミ、また、社内からも、いろいろな意見があるが、全体としては、また、相対比較の中では、それほどひどい経営者ではないと思う。  岡村氏も、実績や人選において、批判はあるが、少なくとも、真面目に改革に取り組まれた。DRAM撤退などは英断だったろう。 また、西室氏や岡村氏の頃までは、社風がおおらかで、多様性もあり、鷹揚さがあった。この頃までは、役員にも、多くの知性ある紳士が顕在だった。 転機は2005年  西田氏は、社長以前から、西田マジックと言われ、アナリストの間でも、訝る者は多かった。また、東芝のノートPCの牽引者は、むしろ、森氏、実態は、溝口氏であり、その点も、フェアではない。ただ、その珍しい経歴や、知性や西室氏と同様の米国での素晴らしい人脈から、西田氏を正しく、評価できなかったのは不明を恥じるばかりだ。  今から思えば、この2005年が転機でもあり、変わらぬ電機業界に愛想を尽かし、ファンドという立場から、会社を変えようと、セルサイドからバイサイドとなった。それゆえ、2005年からは、トップと深い付き合いはしていないし、分析もできていない。 まさに、短期的には、ここが、過ちの分かれ道、転換点でもあり、この前後に、多くの古き良き東芝らしい紳士が去って行ったし、自分が知る東芝でもないと思った。そして、その象徴が佐々木社長だった。また、社内役員も社外役員も、変貌したように感じる。 遠因・真因・近因  物事の理由には、直接の原因である近因のほかに、真の原因である真因、さかのぼって大きな転機の遠因があり、それを見極める必要がある。 社長の再定義、レジチマシー論でも、議論を加えたい。 2016年7月28日 社長の再定義と会社の種類2016年 7月 28日 木 続きを読む
21日 9月 2017
9月20日13時半~16時半に開催された川崎の㈱富士通研究所の説明・見学会に参加した。昨年は10月だったが、今年は早い開催、残念ながら15時に都内で所用があり、プレゼン途中で中座、後半の講演や展示見学ができなかった。マスコミ合同で、多数参加。13時半過ぎ~14時10分、佐々木社長がR&D戦略についてプレゼン質疑、その後、重要な研究成果の新規発表が2件、10分ずつ、今回、京都賞受賞に輝いたHEMT発明者である三村名誉フェローによる特別講演、その後、プレゼン会場を出て、14時半過ぎから16時半まで見学会という例年のパターンである。 佐々木社長プレゼン  佐々木社長のプレゼンは、昨年度と同様だが、今回、富士通グループの中計目標であるOpm10%以上、海外売上50%以上に、どう貢献するか、という視点が強調された。 新発表とHEMTに関する三村氏の記念講演  注目新発表では、堀江取締役の「デジタルアニーラ」、岡本氏(人工知能研所長代理の「Deep Tensorとナレッジグラフの融合による説明可能なAI」、であった 三村氏の発明はノーベル賞級であり、過去に富士通だけでなく、世界に発展に貢献しているが、その多くが、現在の富士通のドメインから外れている。提携で、事業モデル的に工夫できるのではないか。 展示 展示は、昨年16テーマから14テーマ、新発表やAIに関するもの、HEMT関連、以外は、大きな技術トレンド別に展示、サービスオリエンテッドコネクションが3件、コアフロントネットワークフュージョンが3件、セキュリティ、応用と分類され分かり易い。5G無線に関心があった。個人的には、厚木系のハードや材料等の展示を増やしてほしい。 R&D戦略  富士通のR&D戦略の特徴は従来から、研究開発の独立性を維持するため、別組織としていることである。同様の例として、ホンダがある。 中期では、独立上場もありうる  私見だが、オープンイノベーション化の中で、様々なビジネスモデルが可能になり、研究所そのものの価値がつく。上場という手段もあろう。
21日 9月 2017
各種報道、東芝の広報IR資料でも正式発表があったように、20日の役員会で、ベイン連合に東芝メモリー社(TMC)売却を決定したようだ。WDや鴻海とは、交渉を打ち切るようだ。...
17日 9月 2017
去る9月8日、東陽テクニカのTOYOソリューションフェアで、海上自衛隊潜水艦教育訓練隊研究室長の金子氏の講演「潜水艦救難:海上自衛隊の実力とアジアの趨勢」を聴いた。 海の男...
17日 9月 2017
理科大MOTでアントレプレナーシップや新事業開発論の講義を担当したこともあり、この半年間は、スタートアップについて、調査分析している。 これまで、シリコンバレーや、日本においても、何度もハイテク・ベンチャーブームはあったし、2000年前後のITバブル、ネットバブルは、まだ記憶に新しいところだ。...
17日 9月 2017
各種報道や、広報IR発表によれば、東芝は、一転、WD陣営から、ベイン中心の日米韓陣営をメインに売却を検討しているようだ。ただ、日本語発表資料によると(後述するように、英文では全く内容が異なる)、引き続き、WD陣営や鴻海とも協議中のようだ。リーク(ベイン連合を支持する社内からのものらしい)や伝聞情報(メインバンクへの説明会参加者の印象)を元にした報道が多く、交渉なので当然だが、実態は不明だ。  関連する企業も、複数錯綜しているが、これは、INCJなど政府系は、鴻海以外であれば、どちらでもよく経産省等の判断の影響が大きいだろう。アップルなどユーザー系も、WDのライバルであるシーゲートを除けば、あくまで現在タイトなNANDの調達を有利にするためであり、実態は、中立だろう。  また、鍵となるWD訴訟、独禁法審査、日米視点での技術流出を比較すると、甲乙つけ難く、WDとの関係や契約が重要だけに、経産省がWD・KKR連合を支持したのは妥当なのだが、社内の一部に強烈な反対がある上、最終条件で折り合いが微妙らしい。これも、双方の主張も含め、諸説あり難しい。金額については、NANDも含め、業績好調である上、海外保有資産売却や、WH親会社補償の税効果などから、重要度は下がり、全株売却よりも、持ち分対象になる程度であれば、十分との見方もある。 それゆえ、政府系とユーザー系だけでも債務超過は可能であり、独禁法審査もなくなるため、際どいが、その可能性もあろう。この9月21日にも、最終決定との報道も多いが、なお、流動的だ。 SKハイニクス・ベイン連合選択の結末の行方  現在、報道その他で有利とされているSKハイニクス・ベイン連合を選択した場合どうなるだうか。第一に、WDは差し止め請求(最悪は四日市のJVを簿価で取得)など一層、混迷する。第二に、独禁法審査だが、SKハイニクスが入れば、もはや時間切れだろう。第三に、スキームが二転三転しているため、なお、合意までに時間がかかる。第四に、WD陣営売却を認めた経産省の面子もあり、INCJ等の出方が難しい。これらを総合すれば、とても、年度内に決着し、債務超過回避となるとは思えない。  そうなると、上場廃止の責任をとり、綱川陣営は退陣であり、メモリ売却も見直しとなる可能性もあろう。そして、実は、この結末への方向性は、東芝社内での、アンチWD派は、十分に分かっている筈であり、むしろ、それが目的ではないか。 これは、日本語の広報リリースと異なる英文リリースを見れば、それが伺える。日本語版ではない成毛氏のコメントがあり、WDに対する厳しい見方や、そもそも、メモリ外出しにも、慎重姿勢に読めるからだ。日本版と海外版で全く違い、日本版では、比較的あっさりだが、海外では踏み込んでいる。国内と海外で、どうして、こういう差が出ているのだろうか。 英語 http://www.toshiba.co.jp/about/ir/en/news/20170913_1.pdf 日本語 http://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/news/20170913_1.pdf 真の狙いは上場廃止?  もしかしたら、pwcとの関係悪化も、上場廃止が狙いだったかもしれない。外部からは、信じられない、この1年の混迷も、そういう仮説を置くと、綺麗に説明できる。 シナリオは  ただ、そこで、彼らが見落としているのは、下記だろう。  最後の綱川社長の奮起と英断をなお、期待したい。
12日 9月 2017
9月7〜8日、東陽テクニカが、ベルサール東京日本橋で、「TOYOソリューションフェア2017」を開催し、参加した。https://www.toyo.co.jp/mecha/contents/detail/toyo_solution_fair2017seminar.html オープンイノベーションと日本市場...

さらに表示する