富士通は、29日、傘下の半導体ファウンドリである三重富士通セミコンダクター(MIFS)を、台湾ファウンドリ大手UMC売却すると発表した。売却金額は576億円、2019年1月がメド。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO32425480Z20C18A6TJC000/
http://www.fujitsu.com/jp/group/fsl/resources/news/press-releases/2018/0629.html
MIFSは、富士通の100%子会社で半導体部門を担う富士通セミコンダクター(FSL)の三重工場の運営会社。2014年にUMCが15.9%の資本参加、40nmロジックラインの開発などの経緯がある。
FSLは、傘下に、MIFSの他、会津工場の運営子会社、商社機能を持つ富士通エレクトロニクスがある。会津工場も、200mm工場は、2018年4月に40%株保有のオン・セミコンダクター社が段階的に比率を上げ、2020年に100%となることが決まっている。
半導体再編最終局面か
富士通は、IT・サービスに経営資源を集中する方針で、半導体に関しては、ファブレスとファウンドリに分け、ファブレスは、ソシオネクスト社をパナソニックやDBJと設立、ファウンドリは、上記、MIFSが中心だった。また、デバイスを担うR&Dとして、100%子会社の㈱富士通研空所があり、厚木研究所が収容拠点だ。今回の決定は、FSLのあり方や、ソシオネクスト、富士通研のあり方にも影響するだろう。
https://www.circle-cross.com/2015/06/11/2015年6月9日三重富士通セミコンダクター-旧富士通三重工場-300mmファブ見学会/
UMC傘下で、CAPEXもなされれば、成長余地は大きい。社員の970人の雇用は当然継続だが、同じ三重県の東芝四日市に流れるリスクに注意すべきだろう。
6月27日、東芝の株主総会が幕張メッセ開催され、無事、終了した。経営危機を脱した後の初めての総会だったが、出席人数は619人と去年の臨時総会を下回り過去最少、開催時間は2時間6分。減資や株式併合、定款変更、取締役選任の4つの議案はすべて可決された。なお、ヘッジファンド時代に会社で運用していた当時を除き、自身は個人その他でも、東芝の株主ではなく、売買も全くない。ただ、過去30年、東芝への想いと、経営について悩み考えた時間は、経営陣や上位株主以上だと自負はしている。
事前には、マスコミや識者から、「外資ファンドから、メモリ売却中止提案、経営陣も選任しない」など可能性が示唆されていたが、それどころか、綱川氏などには労いの声もあったという。https://www.nikkei.com/article/DGKKZO32423190Z20C18A6EA4000/
実際、取締役選任議案で、綱川社長、平田CFOなど難局を乗り切った経営陣には、賛成比率が85%だった。社外役員も同様だが、池田氏は73%、小林喜光氏75%とやや低い。4月に就任した車谷CEOは、63%だった。http://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/stock/pdf/tsm179_extra.pdf
3年間の取材・説明会参加は50近く、ブログも100数十、数十万字、すっかり変わった東芝
これで、2015年4月末の決算説明会延期から端を発し、不正会計、財務危機、上場廃止リスク、ガバナンスなど、東芝問題は、3年を経て、一段落となった。この間、ポートフォリオでは、WHなど海外原発、メモリ、メディカル、白物家電、TV、PCと、多くのコア事業がカーブアウトされ、80年代前半の姿に戻った。また、この20年、これらの事業にも関わった西室氏も、西田氏も、亡くなられた。当時は、シャープ問題が大きな話題となっていたが、それ以上に多くの教訓を残した。
今後は、本体の成長戦略と、メモリ社の発展が課題となろう。トップ人事や、R&Dのあり方、更なるポートフォリオ改革もあろう。
https://www.circle-cross.com/2015/04/06/2015年4月6日-東芝-水素インフラ事業説明会-消化不足/
https://www.circle-cross.com/2015/05/16/2015年5月15日-東芝の不正会計リスク/
この間、説明会参加や取材も50近く、東芝に関する直接的なブログは、100数十件、数十万字に及ぶ。改めて、勉強になった、というのが実感だ。
その中で、当初の5月頃、抱いた最悪は「WHに関する粉飾で、1兆円規模か」という直感、また、「メモリ事業の価値は1兆円以上、本体と経営重心視点でも、異なるから、カーブアウトすべき」という提言や考えが、方向性の上では間違っていなかったのは感慨深い。
もちろん、この難解な多次元連立微分方程式を解いたのは、綱川氏以下経営陣や、銀行や証券、役所なども含めた関係者であり、心から敬意を祝し、労いたい。
実際には、紆余曲折、水面下では色々あったことは、垣間見えている面もあるが、シャープに関して、鴻海や産業革新機構との件と同様、殆どのコンセンサスと異なった意見・予想であったが、相対的には、数少なく正しい見識だったと誇りたい。
去る5月15日の決算説明会に参加できなかったので、6月中旬にIRにフォローしたので報告したい。
業績は3期連続で最高を更新
2017年度は売上661億円、粗利213億円、OP125億円、NP78億円、受注1093億円、受注残1157億円、売上だけは中計の700億円ではなかったが、それ以外はOP90億円に対し125億円など、大きく上ブレ、過去最高益を更新中。シェア80%の検査装置も堅調だが、大きく伸びたのは、光配向、カラーフィルター露光、局所レーザーアニール等の製造装置。中国向けが大きく伸長。4Q受注は、370億円と、それまでの240億円前後から大きく伸びたが、中国大型パネル等で前倒しがあった。
2018年度は売上820億円、粗利272億円、OP165億円、NP100億円。SGA107億円と27億円増加だが、FHMと縦型蒸着のVET社のDep、子会社化したルミオテック社の人件費等。B/Sでは、これらの関係で、有形固定資産が15億円から50億円程度へ増えよう。
ディスプレイ需要は、面積ベースで年率5%増、装置市場は、2016年14B$、2017年20B$から、2018年は落ち込み、中小型が延期、大型は横這い。G10.5に加え、TV向けG8.5も出てきた。
フォトマスク装置へ参入
注目される新事業では、FPD用フォトマスク描画装置であり、Vテクは、開発から製品化の過程で技術の底上げを目指している。
PLAS(局所レーザーアニールシリコン)装置
8K-大型TV向けパネル用バックプレーン向けに、安価でa-Si-TFTから、電子移動度の高いボトムゲート構造にアップグレードできるPLAS装置だが、2016年に1号試作機を販売した。2017年に2号機を販売、ユーザーと評価を進め、今期は量産機の受注を目指すようだ。
VET社スタート
10月13日に公開されたFHMのマスク、縦型蒸着関連のVET社も12月より、スタート。米沢工場で、2018年夏から秋に設備導入、2019年4月より生産を目指す。
http://v4.eir-parts.net/v4Contents/View.aspx?cat=tdnet&sid=1520007
ルミオテック買収
世界初の照明用OLED専業メーカーとして2008年に誕生、三菱重工が99%株主だったが、これを引き継ぎ、OLED関連事業とのシナジー効果を期待。
半導体ウェハ用研磨装置へ
当社は、FPD分野以外の新しい事業の柱を構築するべく、浙江省海寧市の出資するファンドと共同で、Zhejiang Chip Sunshine Equipment Technology Co. Ltd.を設立した。
中長期的なビジョンとしての新規事業など布石
Vテクは、そのコア事業はFPD分野、中でも大型FPD製造検査関連が大半を占めている。ゆえに、FPDメーカー各社の設備投資動向に業績が左右されやすい。現状は、旺盛な受注や、豊富な受注残があるものの、中長期での収益の安定化が課題であり、その布石だ。
去る4月26日のオムロンの決算IR説明会で、宮田CTOが技術経営強化について説明があった。
https://www.circle-cross.com/2018/05/28/オムロンの決算発表-4月26日-と宮田ctoによる技術経営強化/
6月号の日経エレクトロニクスで、宮田CTO(代表取締役)取材記事「役立つデータは脊髄反射層にある、オムロンならではのIoT戦略とは」が参考になる。http://tech.nikkeibp.co.jp/atcl/nxt/column/18/00301/00005/
この中で、イノベーション推進本部(IXI)の下に、技術経営、特にオープンイノベーションを実践するための組織として、新会社「オムロン サイニックエックス(OSX) 社長 諏訪正樹氏」設立にも触れている。
CTO室長の勅使川原氏と面談
今回、6月11日に、IRを通して、CTO室長の勅使川原氏と面談、IR説明会では、やや不明だったR&D関連の組織などについて確認、議論させて頂いたので紹介したい。
まず修正だが、「同社のR&Dは、約500億円程度だが、2016年度の有報によれば、IABが164億円(4.8%)、EMCが46億円(3.0%)、AECは92億円(6.5%)、SSBは18億円(2.2%)、HCBが62億円(5.7%)、その他本社などは30億円程度だ。」 と記したが、正しくは、この「その他本社」はBL等の部門で、全社のR&Dは100億円程度あり、これが主として、技術知財本部(主拠点は、京阪奈イノベーションセンター)である。
イノベーション・R&D体制
同社のR&D体制は、30年程前は、中央研究所があり、事業サイドが一部開発費を負担する依頼研究のような仕組みを取り入れる時期もあったが、どうしてもビジネスでは手が回らない小粒なテーマが増え、一方で、独自テーマの場合、ビジネスから飛び地では、成果がでないジレンマがあった。
そこで、この10年で、現在のような体制になってきた。
体制の切り口は、まず、時間軸で、事業部サイドのR&Dは3年以内のもの、コーポレートラボの京阪奈イノベーションセンターでは、3〜5年(結果として7年など更に長期になる場合もある)、切り分ける。また、ものづくりに関する工法・設備・材料に関しては、比較的短期テーマを中心に、グローバルものづくり革新本部(拠点は、京都、草津、岡山)が担う。
技術知財本部
組織的には、CTOの下に、技術・知財本部があり、主拠点として、京阪奈イノベーションセンターにおいて、コーポレートR&Dの役割を担う。最近、新設された、エッジ型AI研究センター、ロボティックス開発センターも、技術知財本部傘下である。
イノベーション推進本部(IXI)
IXIは、全社のイノベーションのプラットフォームである。技術視点だけに留まることなく、近未来デザインから、ソーシャルニーズ創造のための戦略策定、事業検証、インキュベーションまでを一気通貫で行う近未来デザイン研究所(OSX)がある。
グローバルものづくり革新本部
グローバルものづくり革新本部は、京都と岡山、草津に拠点があり、R&D活動としては、工法、設備、材料開発を担う。
テーマの選定は未来予測からのバックキャスト
事業部のテーマやグローバルものづくり革新本部は、現場のテーマが多いが、コーポレートラボである技術知財本部、加えて、未来予測からのバックキャストで、R&Dテーマを定める。
オムロンの強み理解とIRと投資家アナリスト
組織的には、イノベーション推進本部の他、上記のものづくり革新本部、技術・知財本部などが本社組織として存在している。内部のR&D、OSXのオープンイノベーション、そしてM&Aの組合せが有効に機能していくのだろう。
オムロンの企業文化や地域特性なども考慮された、こうしたイノベーションを起す仕組み、人事政策はオムロンの大きな強みであり、根っこの力であろう。CTOが代取であるのも稀有だが、それだけ、イノベーションを重視している証拠だろう。投資家やアナリストも、短期的に出てくる業績ではなく、長期の業績向上につながる、こうした仕組みや企業文化に注目すべきだろう。しかも、こうした内容は、HPはじめ多くが公開されており、それを確認するための、取材にはIR側も積極的だ。
日経報道によると、世界でAIの専門家の争奪戦が過熱、自動運転や顧客データの解析、音声認識や顔認証システム、デジタル化が進み、AIに精通した技術者が求められ、世界では70万人のAI人材が不足という。https://www.nikkei.com/article/DGKKZO32164560T20C18A6MM8000/
しかし、その実態は、米国に比べ、年収が少なく、インドや中国に比べ、他業種との差も少ないようだ。経産省のアンケート結果では、平均だけでなく、最高レベルも格差が大きい。
有機EL討論会での特許庁審査第一部の中山氏のプレゼンの概要を記す。中身は、平成29年度特許出願技術動向調査報告書である。日本を含む5大特許庁への6年間の特許出願を対象に行った有機EL装置の技術動向調査であり、フレキシブル化を課題とする出願急増、材料分野の発光・輸送材料(特にTADF)、基板・封止材料の出願が多い。成膜では、韓国・中国は乾式(蒸着)、日本は湿式(印刷)だが、やはり、韓国が、デバイス、材料、装置で強い。https://www.jpo.go.jp/shiryou/pdf/gidou-houkoku/h29/29_02.pdf
これをヒントに、原典の報告書を見たが、絶望的な状況である。中国の台頭も予想以上、また、論文発表でも日本は厳しい。
有機EL討論会でのJOLED野田氏のプレゼンとコメントを記す。多くは、HPや過去の説明会と同様で業界では既に知られている内容だったが、一部、興味深い話もあった。
野田氏は、89年に早大の応化卒業、ソニー中研入社、2015年にJOLEDへ異動。プレゼン内容は、HPなどにあるJOLEDの概要、ソニーやパナソニックから継承した技術や歴史、印刷技術の特徴、戦略など。なお、JOLEDの技術には、印刷方式だけでなく、TFTバックプレーンでのTAOS技術やフレキシブル技術があるが、コメントなし。
JOLEDが狙う市場と戦略
印刷方式
製品化は、21.6インチ4kTV用と医療用モニタ
第26回有機EL討論会が、6月21、22日に、日本科学未来館で開催され、21日の午後の、サムスン、JOLEDの講演、22日午前の特許庁による有機EL装置の出願動向調査の講演に参加した。
全体的には、TADFなど材料系、劣化機構、膜などの評価解析が中心。発表は、九大6、北陸先端大3、大阪府大2、千葉大2、山形大2、以下、京大、愛知工大、NHK、信越化学、ミヨシ油脂など。
表彰されたのは、サムスンディスプレイ(産業化と普及貢献など)、JOLED(印刷方式の製品化)、北陸先端大(高信頼化)はバランスが取れており妥当だろう。個人的に関心があったのが、信越の透明かつデシカント機能を持つシリコーン封止材料開発、電気ショートも低減成功。
サムスンディスプレイ(OLED材料部門VP Kwan Hee Lee氏)
クルマの中期の大きなトレンドは、EV化とコネクテッド化である。また、シェアリングエコノミーの影響もあり、更に、景気サイクルの波を超えて、メーカーは巨大化すると、リカーリング型(チャリン、チャリンと収入)を志向する。この中で、クルマメーカーはどうなるのか。
経営重心分析でも、クルマは、買換えサイクルは6-7年であり(車検の影響)、ボリュームは1億台弱であり、ジャパンストライクゾーンの周辺だが内部にあった。しかし、EV化すれば、部品点数も減り、すり合わせ要素もへり、かつてのコンピュータのダウンサイジングと同様、サイクルは短くなり、低価格かも相まって、ボリュームは増える。更に、コネクテッド化は、PCにおけるインターネットの影響やクラウド化に似ており、新技術がどんどん導入される。いずれにせよ、クルマは、ジャパンストライクゾーンを外れてくる。また、シェアリングエコノミーが普及すると、ユーザー側は買換えどころか、保有もしない傾向が増えよう。クルマメーカーも、景気変動をさけ、リカーリング型を志向する。
キャリア化するクルマメーカー
結論を先にいえば、クルマメーカーは、キャリア化するだろう。これは、必然的にリカーリング型になる。また、企業が巨大化すれば、キャリア化は必然である。これは、NTTドコモなど、通信キャリアをイメージすれば分かり易い。徐々に、ユーザーは、通信端末同様、クルマ(モビリティ端末)を、キャリアの影響で、買換えさせ、あるいはレンタルするようになる。コネクテッド化や自動運転になれば、データや損害保険もより重要になる。
トヨタモビリティキャリア!?
トヨタは、まさに、そうした技術力も、資金力も備えている。トヨタ自身のクルマも提供するが、連携先の国内クルマメーカーや、中国のEVメーカーのOEMもありえよう。
経営重心分析
そういう場合にも、シェア獲得に大事なのは、ハードの魅力である。将来は、多少の差はあるが、ソニーなども、エンタメ・キャリア化、さらに、通信キャリア、電力キャリア(電力会社)と、モビリティ・キャリアは相互に参入することになろう。
財務面の変化に注意
財務面で注意すべきは、シェアリングエコノミーが中心になり、キャリア化した場合は、レンタルやリース会社を使うかどうか次第だが、在庫が減り、設備投資による固定資産となる可能性もある。
経営重心3.0
経営重心3.0では、サイクルを時間の流動性、ボリュームは数量の流動性と普遍化し、金融の場合は、売買高や出来高などをとる。
経営重心とサービスの付加価値、売り切りによるハードの付加価値
経営重心で、ボリュームが増え、右上の方向に行くと、メーカーとしては、売り切りであり、単価も安いから、よりハードの付加価値が増える。
去る5月22日に、ソニーの中計発表とIRデーが開催、所用で参加出来なかったが、一部、リアルタイムで視聴、残りもHPで後日視聴したので、まず、吉田新社長の中計について、報告する。吉田氏のプレゼンの後、新CFOの十時氏、新CTOの勝本氏、CSRの今田氏も登壇して、質疑。
数値的な意味では、目新しさはなかったという評判が多いようだが、改めて、21世紀になって最高益を更新したソニーのミッション、ビジネスモデルを理解する上では参考になり、成果を測定するKPIも明示され、ソニーの価値感共有という意味では、過去の数字だけに重きをおく中計と比べ、有益だった。
経営は長期と危機感
ソニー11代目社長となった吉田氏のプレゼンは意義深く、93年に自身が故盛田氏からのメッセージ「米からもう一度学ぶべきだ」の意味が「インターネットのインパクトを考えろ」という解釈であり、アマゾンやネットフリックスが94年に創業、ソニー自身は97年に最高益を達成したが、その後は、長く低迷したのは、まさにインターネットの影響であった。その意味では、経営とは、危機感と長期志向だと認識しているという。
クリエーターとユーザーの間を感動で繋ぎ、コミュニティを豊かに広がる
改めて、ソニーのポートフォリオは多岐に広がっているが、その共通点は、「クリエーターとユーザーを感動で繋ぐこと」であり、ビジネスモデルとは、そのコミュニティを豊かに広げることだという。
エレキ、エンタメ、金融の戦略
エレキのハードでは、映像と音を極める製品を出すが、規模を追わず、キャッシュカウという位置づけだ。
先行投資と社会還元
先行投資は、コンテンツIP、半導体、ロボや医療だ。3年間で2兆円を投じるが、CMOSイメージセンサー等デバイスが1兆円、5000億円がコンテンツIPや補完的技術、残りは財務改善や投資家還元。
KPIは累積営業CF
KPIは、3年間の累積営業CFが2兆円以上、ROE10%以上。
若様の見方
全体的に大いに納得する中計であったが、ソニーの付加価値や投資の先は、コンテンツとデバイスだ。
東芝が6月13日に、株主還元策として、7000億円規模の自社株買い実施検討を公表した。東芝メモリ売却益1.1兆円から、フリーポート問題、株主訴訟などリスクを織り込み、7000億円程度は妥当だと判断した。単独業績はまだ不十分なため、配当はできない。成長施策としてM&Aもあるが、過去の失敗から慎重に対応、また、メモリも原子力もない東芝としては、これで妥当な株主資本比率を維持できると記している。
報道や識者の意見には、「成長に使うべきだ」、「ファンドの圧力」だ、などいろいろあるが、決算説明会でも、その可能性に触れており、既定路線だろう。妥当かつ素晴らしい判断だ。
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31740670U8A610C1EA1000/
そもそも、WH関連譲渡等だけでも、税金タイミングが良ければ、債務超過は回避できたが、万が一を考え、絶対安心のための増資だった。ゆえに、そのリスクをとった株主に、還元するのは当然だろう。また、メモリも原子力もない東芝に、そんなキャッシュは不要だろう。「カネの使い方が下手なくせに貧乏な」会社が、思わず、巨額のカネがあれば、ロクなことはない。余計なM&Aなどしても困る。せいぜいあるとすると、フリーポートのリスクを一気に払拭かどうか程度だ。
結果論では、増資は不要だったといえるが、それは、後講釈であり、万が一に備えるのが経営だ。そして、その万が一(実際は、もっとリスクは高かったが)を無事に乗り切った以上、それ戻すのは当然だ。
東芝の決算説明会に参加〜メモリ売却方針は不変と車谷Nextプラン2018年 5月 17日 木 続きを読む
これで、株主総会も無事に乗り切り、かつ、メモリ売却は、債務超過回避だけが目標でないことはわかっただろう。これについては、日経の西條氏も同様の趣旨のコメントをしている。
https://www.nikkei.com/article/DGKKZO31633260R10C18A6DTA000/
ほぼ、これで、東芝問題も収束に向かい、本体もメモリも、それぞれ異なる形で成長へ軸足を移す。
今回も、シャープと鴻海、INCJ問題同様、多くの「識者」が、東芝は破綻、上場廃止、メモリは売らない、独禁法は認められない、ファンド圧力でメモリ売却中止、などなど、最後の最後まで、憶測を事実のように語り、間違った予測や認識をする中で、まずまずの予測と見識を示せた。
MOTで多少、経営戦略も教えていく中で、あらためて理工学との根本的な差異に加え、いろいろな、経営戦略理論の位置づけ、鳥瞰図も考えないといけない。
そういう中で、全体を俯瞰し、歴史的な変遷を示したのが、ミンツバ―グの戦略サファリと、波頭亮の経営戦略概論である。前者は、アンチ・ポーターであるが、それぞれの特質、前提を明らかにしながら、全体を統合しようと試みている。後者は、やはり、歴史的背景と、長短を示しながら、かつコンサルタントの立場から、それぞれの理論の実用性を論じている。
戦略サファリでは、各派閥での流行を図示している。自身がNRIに入った頃は、ポーター全盛であり、その後から、日本企業の成功ケースから、野中郁次郎等のラーニングスクールが流行したのを実感できる。
シャープが、6月5日に、重要な二つの発表をした。二つとも妥当な決断だ。
第一は、2000億円の公募増資を実施するようだ。メインバンクの2015年のDESによるA種類優先株の買い取りに充てる模様。液晶事業の不振で経営危機に陥り、台湾の鴻海(ホンハイ)精密工業の傘下に入ってから2年弱。「負の遺産」の処理にメドを付け、財務が正常化する。これで、銀行からの圧力も排除でき、成長へフォーカスできる。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO31372500V00C18A6MM0000/
第二は、東芝PCを40億円で買収。ただ、80%程度で、少しは東芝が持つ。東芝のPCは、売却方針は決まっており、過去は、富士通やソニー等の日本勢が一緒になるとの見方などもあったが、その後は不明だった。日本連合では、負け組同士であり、課題が多かった。
https://www.circle-cross.com/2015/12/05/2015年12月4日-東芝-富士通-ソニー-vaio-pc統合-tvで放映されなかったコメントと分析/
シャープについては、従来から、憶測が報道されており、驚きはない。これが、過去のシャープであれば、負け組連合だが、鴻海の力があり、面白い。6月6日には戴社長が会見で、1-2年で黒字化に自信を示した。東芝のPCは、生産はEMSであり、技術部隊もあまり残っておらず、40億円はブランド価値だろう。PCは、鴻海の最も得意とする分野であり、1年で黒字化など容易だろう。シャープもかつてメビウスのブランドがあり、今後、PCをどう育成するか、興味深い。シャープの親会社の鴻海は、EMS部門を既に上場しており、今後の鴻海全体の戦略にも注目が集まろう。
去る6月8日10時より、恒例9回目の日立IRデー開催。昼食を挟んで午後の前半まで参加、質問もした、最後の電力は、英ホライゾン原発に関連して報道もあったが、HPで視聴。
最初、東原CEOによる挨拶、システム&サービス事業の塩塚氏副社長、インダストリアルプロダクツBUと産業流通水分野の青木副社長、産業流通BUの阿部常務、ビルシステムBUは関専務、鉄道BUのドーマー専務、電力BU小田常務、原子力BU武原常務が登壇、オートモティブ、金融・公共・ヘルスケア分野は無かった。阿部氏、小田氏、武原氏は初登場、関氏は、昨年はオートモティブだったが、古巣のビルの担当に戻った。
3階層のビジネスモデル
日立のビジネスモデルは、下記の3階層、フロント、プラットフォーム、プロダクトとなっているが、塩塚氏はLUMADAも含めプラットフォーム、青木氏はプロダクトのトップでもあり横グシ的、それ以外は、BUのヘッドであり、4事業領域を担当するフロントという位置づけ。
すでに、4月27日の中計説明で明らかになっており、すっきりはしたが、実際のビジネスは、そう簡単に3階層に切れるというものでもないだろう。
東原社長は、去る4月27日の決算・中計発表会を振り返り、好調な業績と投資家からの反響で手応えを感じた自信か、プレゼンの雰囲気もダイナミックになった。
2017年度業績は売上9.37兆円、OP7146億円、EBIT6442億円、NP3629億円と上ブレした。2018年度見通しは、売上9.4兆円、OPとEBITは共に7500億円、NP4000億円だが、目標は、売上10兆円、OPとEBIT8000億円。2021年度は、OPM10%を目指す。
ユースケース500件となったLUMADAが業績改善にも貢献、OTとITのクロステックを強化する。
システム&サービス
塩塚氏が管掌のシステム&サービスは、社会BU、金融BUと、サービス&プラットフォームBUであり、いわば旧マル情であり、ややBU入れ替えがあったようだ。
この部門の売上は2015〜2018年度2兆円で横這いだが、3年で2500億円の事業をやめ、OPMは改善が続き10%目前だ。工場では、小田原、豊川、戸塚等を閉鎖、UMCエレなどEMSを活用。他方、oXya社、Pentaho社をM&A、ソリューション中心にポートフォリオ変革。
インダストリアルプロダクツ
同BUは、圧縮機・ポンプなど機械系、モータなどドライブ系、変圧器など受変電系をベースに、LUMADAも活用し、つなげて、社会インフラなど向けに提供するというビジネスモデルであり、まさにIT×OT×プロダクトという日立ならではの強みを生かせる部門だ。
産業流通
LUMADA効果が期待できそうだが不振。2016年度は中東案件の引当など赤字だったが、2017年度も売上6000→6200億円、EBIT3.8→0.5%。
ビルシステム
業績は2017年度売上6030億円、EBITは8.2%と増収減益、2018年度も売上6500→5800億円、EBITは11→8.9%と減収減益。中国市場減速、単価ダウン、建材価格アップが逆風。2021年度は、売上6400億円、M&Aで更に上を目指す。OPM10%へ復帰。
電力エネルギー
電力・エネルギー事業は、2017年度の売上4900→4650億円、OP170→250億円、EBIT290→399億円、売上内訳は、再生可能エネ16%、グリッドソリューション13%、サービス23%、他6%、原子力BU42%だ。2018年度4560億円、OPM6.3%、2021年度は売上8000億円超、OPM10%を目指す。
原発はUKホライゾンがどうなるか
原発は、英国政府とファイナンス支援も含めた交渉継続、正式交渉。日立の民間会社としての経済合理性を原則の中、オフバランスと適切なリターンなどは理解を得られているとした。
5月29日16〜18時に開催されたTELの投資家アナリスト・マスコミ合同の中計説明会に参加、質問もした。出席は、常石会長、河合社長CEO、先端技術の関口氏、コーデベ・洗浄担当の池田氏、エッチャ担当の三田野氏、成膜の多田氏、FPD担当松浦氏。昨年も同時期に開催だれたが、ほぼ同メンバー。
最初に、常石氏が挨拶、データ駆動の新時代の到来を宣言。WFEは60B$を超えるフェーズ。河合氏がSPE市場見通し、関口氏以下が技術や製品戦略。今回も、関口氏のプレゼンが素晴らしい。最後にまとめて質疑だが、今回は、市場見通しが上方修正され、この関連質問が多かった。技術は、EUVの影響が多かった。質問時間が少なく1人1回だが、効率よく議論できた。
WFE市場に強気、中期業績計画も上方修正
IoT技術の普及でビッグデータ時代が離陸、半導体の更なる技術進化が求められ、シリコンサイクルが過去のものとなったと認識。
WFE市場(SPE前工程、なおWLP含む)は、2017年は51B$、2018年58B$、2019年61B$、2020年は62B$、2021年63B$へ。DRAMはやや一服だが、不揮発メモリ、ロジックが拡大。FY2020年度も、42〜45B$から55〜62B$へ上方修正。
TELの戦略
この中で、TELの業績は、売上は1.5〜1.7兆円、OPM26.5〜28%。TELとしては、この時代に、製品競争力、顧客対応力、生産性向上が重要。製品競争力のため、これまで、開発生産グループ再編を行い、PIC(プロセスインテグレーションセンター)設立、山梨、東北を合併、エッチングの新開発棟、AI活用による装置インテリジェント化を進めた。今後は総合力を生かし、次世代プラットフォーム開発。顧客対応力では、グローバルフィールド本部を導入、BU再編したが、さらに、早期共同開発などを進める。
関口氏の説明が圧巻、今回はロジック
関口氏のプレゼンは、デバイス別ロードマップを、メモリをDRAMと3D-NAND、ロジックをFEOL、MOL、BEOLに分けて、説明、今年は、ロジックが中心だった。
EUVの影響
EUV化では、重ね合わせは、改善されるが、不規則パターンには有利だが、他方、自己整合型マルチパターニング(SAMP)も健在だとした。
自動運転とAI向け半導体
興味深かったのは、自動運転の影響。AI半導体市場も、2020年に15.8B$へ。
FPDでは見方変化なし
去る5月17日10時半に、アナ協主催の説明会に参加、質問もした。出席者は古橋社長以下、本保氏など幹部、柏井氏の決算報告の後、古橋社長による説明。
通期は慎重か
2017年度通期は売上2800→2994億円、OP100→130億円、NP70→102億円と、上期決算から大きく上ブレ。当時のブログで、「売上3000億円、OP150億円、NP100億円も、生産などがスムーズならば視野だろう」と記したが、その範囲だった。商品セグメントOPは、機構がゲーム中心に117億円、音響17億円、表示5億円だろう。
2018年度は売上3100億円、OP100億円、NP75億円と増収減益見通し。為替前提が106円/$と厳しく見ている。
部品は構造変化
この数年は、ホシデンだけでなく、部品市場が大きく変わってきた。スマホからクルマへ、そして現在は、産機や医療関係が注目、大きな市場になるようだ。
去る5月18日15時半から開催された決算説明会に参加した。鈴木社長以下、根岸氏、受川氏、各事業部門のトップが列席。プレゼンは社長、質疑は関係する役員が対応。過去は、前半が決算、後半がトピックスだったが、最近は決算が中心。年々、参加者は増え、質疑も多い。
業績は2017年度、売上922億円、OP68億円、NP53億円。デバイスや電装は好調だが、新エネルギーがやはり不振。通常は4Qが増えるが今回は通信キャリアのインフラ向けも不振。
2018年度は、売上967億円、OP58億円、NP48億円と増収減益予想。為替に加え、Dep増、R&D増もある。ウェハー価格アップもマイナス。なお、不振の新エネのセグメントは無くなり、デバイスと電装、その他、となった。
ニューフレアテクノロジー(以下、NFT)の決算説明会が6月8日に開催され、参加した。杉本社長、他、幹部、プレゼンは杉本社長、質疑はCFOとEB担当の山田氏など。説明会参加は今回が3回目であるが、もともと東芝の装置関係であり、知人もおり、最近は、芝メカと資本提携もした。専門性が高く、参加者は多いが、質問は1人で3問のみであり、40分程度で終わった。
2002年に東芝機械株式会社から半導体装置事業を継承して創業、半導体製品の製造に用いられる最先端の電子ビームマスク描画装置やマスク検査装置、エピタキシャル成長装置を開発・製造、収益の中心は、EBMのシングルビーム、マルチビームのIMS社とシェアを二分。
売上はほぼ横這いだが、高収益。株式市場では、高いバリュエーションで評価されおり、注目度も高い。
2017年度の業績は売上416億円、OP93億円、NP71億円、受注は523億円と大幅増であり、1年毎に変動する。以前よりややOPMは低下だが、20%台は維持。
2018年度は、売上500億円、OP114億円、NP90億円、受注は微増だが、本来は裏期であり、実態は強い。市場の中期成長もあり、R&Dは高水準、20%前後を維持している。次世代機対応に加え、2019年以降の電子線ウェハー検査など新分野に注力。
中期では、フォトマスク市場は大きく伸び、EUVが適用の5〜7nm世代対応には、マルチビームを投入、鏡筒技術、ステージ制御、データ解析技術を融合。
6月1日15時より恒例の決算説明会(決算は5月15日発表済)に参加、質問もした。参加者が非常に多く満員で驚いた。いつも通り、プレゼンは栗原社長。質疑は栗原社長中心に幹部が対応、今回は、医用の質問が少なく、産機が多かった。なお、今回も出席、産業用などの分野や技術的内容に回答頂いた代表取締役副社長でCTO的存在の岩槻氏は退任、日本電子テクニクス会長就任予定。
決算は産機が好調
決算は2月27日に、産機の改善でOP30→40億円に上方修正されたが、その延長線。
2017年度は、売上1046億円、受注1116億円、OP39億円、NP45億円。産機のビームが強い。医用はシーメンス影響。
2018年度は、売上1100億円、受注1120億円、OP52億円、NP40億円。中計Triangleの最終年度で、売上1200億円、経常利益70億円は微妙だが、利益は産機次第で不可能でもないだろう。
70年目の転進
なお、次期中計に関連してか、「70年目の転進」というメッセージが示された。
理科大の新MOTは8割がいわゆる理系であり、必ずしも、経営学を学んでいない。理工学は、新たな理論が出てきても、基本は、従来の理論を否定、矛盾するものではなく、真実の知識、理論が積み重なっていく。また、対象により、ケースにより、理論の適応範囲や条件が明確だ。しかし、経営学は、いろいろな最新理論(実際は仮説だが)が登場、それは従来の理論と矛盾、整合性がとれない場合も多い。それゆえ、学生の多くは、最初は、これで、現場や事業の問題点を解決できると理論を有り難がるが、そのうち、失望したり、混乱する。そこで、ポーターの5Fや、BCGのPPM、バーニーのVRIOなど、いろいろで相互に不整合な理論を整理し、鳥瞰図を示す必要がいる。
戦略サファリ
そこで、久しぶりに、ミンツバーグ著の「戦略サファリ」を読み、簡単に整理した。同様の書籍には、波頭亮の経営戦略概論、高橋琢磨の戦略の経営などがある。
改めて、年代毎に、流行があり、若い時代、最初に経営学を学んだタイミングで、どの学派が主流だったかで、発想の原点が規定されることを再認識した。自身でいえば、80年代半ばであり、まさに、ポーター全盛、しかも、アナリスト向きであった。それゆえに、我々は、我々の世代は、そこに嵌ったし、少し上の世代ならば、SWOTになる。さらに、上ならば、シュンペータであり、プランニング学派となる。少し下ならば、VRIO等リソース主義、最近ならば、アントレプレナー学派になるのだ。
こうした様々な経営学を、状況に応じ、いわば、部品として、使い分けることが必要であり、そうした特別解を出せる能力を養うべきなのだ。それには、やはり演習しかないだろう。
東京理科大大学院教授となって1年強が過ぎた。昨年末からは、新MOTの総責任者である開設準備委員長、その流れで、4月からは、従来のイノベーション研究科から経営学研究科となったが、新MOTである技術経営専攻の主任教授となった。
専門職大学院では、講義やゼミ指導はせいぜい1/3、むしろマネージメントや入試広報などが寄り、重要であり、評価ウェイトもそうなる。しかし、学生から見えるのは1/3の部分だけ。まさに、新規事業立上げ、起業に近く、天職かもしれないが、一日17時間となる。
東芝メモリ社とベインが、東芝からベイン等への売却クロージングを受け、マスコミ向け記者会見を開催、参加できなかったが、資料などからコメントする。参加人数は、それほど多くなかったようだ。投資家やアナリストは呼ばれず、将来、本当にIPOを考えているなら考え直すべきだろう(過去でいえば、JDIは、上場前の説明会があった、おそらく、まだ主幹事も不明だろうから仕方はないが)。
発表者は、ベインキャピタルの日本代表の杉本氏、次いで東芝メモリの成毛社長、質疑の時間も数もそれほど多く無かったようだ。
ベインと経営体制スキーム
杉本氏は、ベインの紹介、東芝メモリ社の役員体制、今回のスキームについて説明。グローバルで厳しい競争の中で、大規模な設備投資や開発をスピーディーに実施する必要性と、その中で強固なガバナンス体制を強調した。また、技術提携やM&Aの可能性、そこで価値を上げ、数年後のIPOについて言及した。
今後の課題
東芝のファイナンスに応じた海外のファンド等が、東芝株と東芝メモリ株の転換を要求等も含め、このスキームに異議を唱える可能性もあろう。
成長戦略
成毛氏のプレゼンでは、これまでの業績拡大や、過去5年間のOpm30%をアッピール。市場シェアも、先端エンタープライズ向けSSDでは、シェア35%。技術面では、64層での実績からサンプル出荷中の96層への展開、多値化でQLC導入など。設備投資では、Y6が18年夏に生産開始は96層対応、JVシェアは40%。北上では18年7月建設、20年量産。R&D強化、2年で技術者500人増員。2019年度に社員700名採用。新ブランドや3年後IPOも示唆。
恒例となった5月30日開催9時30分~開催の4カンパニートップによるIRデーに参加、質問もした。最初に梅田CFOより挨拶と位置付け、次いでカンパニー別に、アプライアンス社(AP)が本間氏、エコソリューション社(ES)は北野氏、コネクテッドソリューション社(CNS)は樋口氏、オートモーティブ&インダストリアルシステムズ社(AIS)は伊藤氏、は昨年通り。
今回は、質疑の時間がやや増えた。プレゼンでは、昨年同様に、AP本間氏が安定明快、CNS樋口氏の元気無さが目立った。
遡って、5月10日開催の決算説明会(こちらは津賀CEO、梅田CFOがプレゼン)にも参加したので併せてコメントしたい。なお、IFRS移行が定着、OPに関し、過去あった調整後OPという表記は無くなったことは評価したい。
今回の位置づけと決算動向
2017年度は売上7.95→7.98兆円、OP3500→3805億円、NP2100→2360億円と上ブレ、為替除き実質で7年ぶり増収増益、AIS等が好調。CNSが大幅増益、調整消去も海戦。TVは黒字だが増収減益。
二次電池はテスラ含め赤字、組織を再編、これまでの二次電池事業部とテスラBU、エナジーデバイス事業部、から、オートモーティブエナジー事業部、テスラエナジー事業部、エナジーソリューション事業部と、一次電池中心のエナジー事業部へ。二次電池全体は売上4221億円、OP赤字18億円、エナジーデバイスは1407億円、OP129億円で今後も横這い。
2018年度は、売上8.3兆円、OP4250億円、NP2500億円、これは、2016年4月発表の目標に対し、OPは4500億円に対し、小さいが、NPは同じであり、また当時の為替前提が115円に対し、105円である上、マクロ景気リスクやテスラのリスクを見ているようだ。
セグメント別では、AP、ES、AISが増益、CNS減益、パナホームはESセグメントへ。特にAISが大幅増益、OP914→1360億円だが、二次電池がテスラ中心に180億円増益の291億円、クルマADAS系が117億円増益の434億円、産機系が半導体関連など138億円増益の558億円。
戦略投資1兆円も85%が意思決定済だが半分がAISのテスラGファクトリー、大連車載電池工場、M&Aなど。このため、質疑では、大半がテスラやEV用電池についてであった。
APカンパニー
APでは、パナらしい強い事業であり、エアコン、スモールビルトイン(掃除機、美理容など)は、高成長、メジャー(冷蔵庫、洗濯機など)、食品流通、デバイスは安定成長、AVCは収益改善事業という位置づけは戦略も明確である。
ESカンパニー
ESは、旧電工などが中心であり、もともと採算性は良いが、今回、これまでの住宅・非住宅から、パナホームを統合し、B2Cの元請けサービスと、B2B2B/Cの電設資材住設資材に分けた。チャネル戦略は複雑だが、全く問題ないとした。。
CNCカンパニー
CNCは、他の詳細な説明と異なり、やや抽象的な上、話題が偏った印象。現場プロセスイノベーションの話はあったが、他社との差別化などが不明。
AISカンパニー
AISは、20167年度の売上2.8兆円、OP934億円、から、2018年度に売上3兆円、OP1360億円だが、前回よりは下ブレ。他のカンパニーと異なり、2020年度は不明。
経営重心分析、危険な2コア化、テスラが右上、住宅街づくりが左下
5月31日10時半〜12時開催の決算(5月11日発表済)および中計の説明会に参加、質問もした。出席者は、齋藤新社長以下、延氏、植野氏、子会社の日新イオン機器の長井社長、寺本執行役。決算とV2020中計、長井氏によるイオン注入事業についても説明があった。前回より質疑の時間が多く、良かった。
業績は最高益更新中
業績は2017年度、受注1350→1331億円、売上1250→1270億円、OP150→160億円、NP100→118億円と上ブレ、売上はピーク更新、減益。V2020中計の売上1350億円、OP125億円に対しであり、売上はやや減だが、利益は上方修正。2020年度は売上1800億円、OP180億円、ROE10%は維持。
2018年度は、受注1350億円、VISION2020対比、売上1450→1300億円、OP130→165億円、NP85→120億円。ビーム真空応用2016年度が高すぎ、減益トレンド。
VISION2020は不変だが、今回、具体的な実行フェーズに移行、海外や新製品など活動をスタートすべく企画開発部を発足、また、技術開発推進センター新設。部門間シナジーや組織統合も。
イオン注入機は半導体でも攻勢
長井氏による概況説明は、OLED投資が一服感あるだけに、タイミングが良かった。今回は、FPDだけでなく、半導体、特にSiCについて詳細説明。
去る4月26日に発表された決算説明会をHPで視聴したので、コメントする。ここのところ、オムロンでは、決算説明会に併せ、山田CEOのプレゼンの後、トピックスについて役員が説明するが、今回は、宮田CTOによる技術経営強化だった。ただ、質疑では技術経営に関するものが少なく残念だった。さすがに、BLなどの話題は出なくなってきた。
IABとHCBで業績拡大、最高益更新続く
山田氏が2011年、CEO赴任して7年が経過、当時と比較して、売上1.4倍、GP+4.8p、OP2.1倍など大きな成果があり、IABとHCBの貢献が大きかった。VG2.0の2020年度1兆円、OP1000億円に向け、M&Aなども含め、ROIC経営が結実してきているが、加えて、今後は、技術経営を一層、強化。
2017年度は売上8500→8600億円、OP850→859億円、NP590→632億円と上ブレ。
2018年度も、売上9000億円、OP930億円、NP645億円と連続で最高益更新。IABとHCBが増益、EMC、AECは横這い圏。
IABでは、3つのiの意のi-Automationが牽引、人手不足もあり、ロボット化が進む、ILORSの領域で、センテック社、マイクロスキャン社、デルタタウ社、アデプト社のM&Aが奏功。オートメーションセンターを35拠点に置き、協創を促進。
技術経営
同社の技術経営は、創業から、1960年の中央研究所設立、SINIC経営など伝統があるが、現在は、未来予測から、バックキャストして、近未来をデザイン、イノベーションを起すやり方だ。
これまでは、マイクロスイッチ、自動応答信号機、無人駅改札、ATMなどが、その成果である。
現在は、ポストVG2.0を見据え、イノベーション推進本部の設立、R&D拠点として、近未来デザイン研究所OSX、エッジ型AI研究センター、ロボティックス開発センターを設け、高度技術人財を採用、育成する。特に、OSXは、20-30人の研究員で発足、オープンイノベーションを導入。
去る4月27日に日東電工のテレコンが開催され、その再生を聴いた。プレゼンは武内CFO、一部の数字はIR塩路氏、会社側説明は簡潔で質疑が中心。また、5月21日には、経営説明会が開催され、これも別件で参加できなかったがHPを確認した。併せて確認したい。図表は全てIR資料。
業績は4Q苦戦で下ブレ、100周年の今期は増益
2017年度は売上8600→8563億円、OP1350→1257億円、NP980→875億円と下ブレ、4Qでは、スマホ等が苦戦。ただ、最高益更新。
2018年度は創業100周年、売上8600億円、OP1350億円、NP1000億円と最高益更新、大台目指す。テープ、オプトは、微増収微増益、LS減収減益。
スマホ関連は、想定以上に強いがTVは落ち込みへ
OLEDでも異形LCDでも
経営説明会
去る5月14日15時半より開催のフォスターの決算説明会に参加し質問もした。出席者は吉澤社長以下、経営幹部、プレゼンは田中氏が決算概要、吉澤社長が今後の取組みなど。
業績は厳しい
2017年度は、売上1900→1848億円、OP95→93億円、NP60→43億円と下ブレ、減損18.5億円が特損でヒット。
2018年度は、売上1500億円、OP55億円、NP25億円と減収減益、割増退職金費用の特損を計上。
転換を急ぐ
広がる新領域に新ビジネスモデルを
去る5月14日19時より開催のCKD決算説明会に参加し、質問もした。業績好調や、半導体市況確認の関心、前日13日の夕刻のTV登場(TV東京にて、知られざるガリバー)、また、同社のIR姿勢も評価され、ファンも広がっているようで、会場は満員、質問も多数。以前に比べ、2-3倍になっている。出席者は、常連の梶本社長、国保氏、舟橋氏に加え、事業責任者も参画、質疑対応。今回は、発表された10年VISIONや、半導体やFPD市況関係に対するものが多かった。業績以外では、トピックスとして、ドイツiFデザイン賞2018受賞、コーポレートガバナンスコード対応での指名・報酬委員会設置、ストックオプション、TVでも話題に取り上げられた社内託児所解説、が紹介されたが、質問は無かった。
業績は最高益更新続く
業績は、2017年度の売上1157億円、OP125億円、NP91億円と最高益更新が続く。ROEも12%へ。特に旺盛な半導体業界の設備投資などを受け、機器が絶好調。自動機は減収減益。M&Aの日機電装のPMIも順調、売上2.7倍(従来の単独では1.4倍)。
2018年度は、売上1220億円、OP140億円、NP98億円、旺盛な需要に対応するため、東北や中国に工場建設、CAPEXは前年の94億円から130億円へ。自動機は受注減だが、原価低減など採算改善を目指す。機器は、空圧、流体の両方が伸びる。
10年VISION〜世界のFAトータルサプライヤーとして2025年度売上1750億円、OP240億円へ
今回、市場環境変化を織り込み、10年VISIONが改定され、2025年度の売上1500→1750億円へ上方修正、OP240億円とされた。
設備投資と人財投資
経営重心分析
メルコホールディングスの創業者である牧誠氏が4月3日に逝去、5月14日にお別れ会が催され、参列した。過去の写真や製品などが陳列されていたが、RAMディスクやCPUアクセラレータ等は、その先見性に驚くが、これらも含め、再度、製品化を見直しても面白いものがあるように感じた。
PCやIT関連のマスコミで大きく報じられている。https://pc.watch.impress.co.jp/docs/news/1121667.html
特に、週間BCNの記事は、長年、牧氏と親交があり、当日、弔辞も述べられた奥田氏と会長を偲んでの小生との対談が掲載され、この記事が会葬御礼の品と共に印刷物として配布された。14日に間に合わせるため、急いでの対談だったため、こちらの記憶が曖昧な点もあるが、牧会長の人柄やエピソード等がリアルに示されている。https://www.weeklybcn.com/journal/hitoarite/detail/20180521_162331.html
30年来の御付き合い
話題は広範
IT、PCの旗手
5月11日10時半より開催の太陽誘電の説明会に参加し、質問もした。業績は増山氏、経営戦略について、登坂社長。参加者多数、コンデンサ市況とエルナー子会社化の件が多い。
業績〜売上はピーク
エルナーとのシナジー
2020年度はクルマが牽引
20日15時半より、4月に就任した杉山社長による経営説明会に参加した。CFOも松山氏から、皮籠石に交替された。既に、マスコミ向けには、記者会見など多く、GEやシーメンスと比べての課題や、事業間連携、掛け算経営について語っている。https://www.nikkei.com/article/DGKKZO28996090U8A400C1X12000/
投資家アナリスト向けは、今回、社長就任後初めて。ただ、過去、2015年11月に、エアコン事業の説明会で登場、ちょうど、同社にとっては、久しぶりのM&Aだったデルクリマ社の件もあり注目された。
https://www.circle-cross.com/2015/12/04/2015年12月3日-三菱電機の空調冷熱の説明会-11月24日-報告/
杉山氏の実績
杉山氏は、自動車機器を振り出しに携帯電話端末、空調機器や家電など幅広い事業分野で経験を積んだが、特に、ケータイ販社のダイヤモンドテレコム売却、デルクリマ社のM&A成功が大きなポイントだろうし、トップとして、事業ポートフォリオ組み換えやM&Aに関わるのかもしれない。
なお今回も、理工系、また、稼ぎ頭のコア事業であるFAからではなかった。90年代以降の社長変遷は、先日亡くなった北岡氏のあと、谷口氏、野間口氏、下村氏、山西氏、柵山氏、杉山氏と、5-6年のサイクルだが、この中で、稼ぎ頭のFAからは、下村氏のみだ。むしろ、傍流のデバイスや生産技術、研究開発などが多い。
質疑内容
説明会質疑では、100周年の020年の売上5兆円、OPM8%への抱負、M&Aの考え方、自動車機器事業でEV化の中でエンジン補機周りのスタータ等のリスク認識、エネルギー関連の見通しなどが多かった。
決算
なお、去る4月27日に決算発表、2017年度実績は売上4.4兆円、OP3186億円と好調だが、2018年度計画が4.5兆円。OP3150億円と保守的。為替100円前提が背景(1円円高で12億円のOP影響ゆえ、110円なら120億円、y/yでは330億円影響)。また、今回より、IFRS導入だが、影響は小さいようだ。
FA説明会
5月11日15時半からの説明会に参加、質問もした。プレゼンは、棚橋CFOの後、中期戦略を澄田会長、質疑は小野社長が中心。なお、澄田氏は、今回、代表取締役から外れる。会長職はそのまま。これまで、TDKの社外役員として取締役議長だったが、今回から社内サイドとなり、代表権のない会長に就任のため。イノテックを長年リード、改革を推進した、いわば、中興の祖ゆえ、多少の影響はあろう。参加者は多かったが、質問は少なかった。
グループ全てで黒字
業績は2017年度の売上287億円、OP12億円、NP7億円、当初、減収減益見通しだったが、減収増益、2月に上方修正したが、それも上回った。コアだったケイデンス事業がピークアウトする影響で、単体が赤字の可能性だったが、何とか黒字化。レグラス、アイティアクセスも、黒字回復、グループ全体で、赤字会社が無くなった。
テスターとプローバが伸びる
2018年度は売上300億円、OP19億円、NP12.5億円。設計開発ソリューションは堅調、プロダクトソリューションでは、半導体活況で、テスターが大幅増だ。
中期方向性
去る5月10日15時半から決算説明会が開催、参加し質問もした。出席者は、いつも通り、藤田社長、道嶋専務、池田氏、プレゼンは藤田社長、質疑は道嶋氏も対応、中計進捗状況も示された。
1年前倒し
業績は、2017年度は、受注534億円、売上493億円、OP25億円、NP17.5億円、ROE11%と、期初予想、前回予想はおろか、受注とOPでは、中計の2018年度目標、経常利益以下では2019年度目標を上回った。中国FPDが強く、半導体設備投資も本格化。
セグメント別損益では、ファインメカが7億円増収で8億円増益だが、採算のよい半導体体系が伸び、メカトロは、60億円増収、5億円増益は、Mixがあまり変わらなかったため。半導体投資は強く、ここ数年はこの傾向が続きそう。
2年前倒し
2018年度の計画は、受注540億円、売上530億円、OP27.5億円、NP17.5億円と、中計の2019年度目標を1年前倒しで達成を目指す。受注、売上は同程度だが、OP以下は、目標を上回ることになる。
オープンイノベーション
ファーウェイは、NWインフラ、スマホの市場シェア、R&D支出で何れも、世界トップ3以内、特許出願では2016年世界トップに入った中国ハイテクdである。
事業概況
R&D、知財は世界トップ
アップルを凌ぎ、IoTにも展開
任氏が44歳で創業
ファーウェイ基本法と狼の文化、軍隊的鉄の規律
最重視は「生き残ること」
軍隊的と非上場
いろいろな仮説
歴史
5月17日の夜、複数のマスコミが、中国独禁当局が承認と報じた。ベイン関係者に通達があったようだ。東芝もIR開示で、6月1日付で売却とした。http://www.toshiba.co.jp/about/ir/jp/news/20180517_1.pdf
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO30645250X10C18A5MM8000/?nf=1
まずは、一段落であり、喜ばしい。株主総会などはあるが、次はトップの人事などが重要だ。IPOもいいが、その前に、強力なリーダーシップの下で、サムスンとの差を埋めないといけない。
米中摩擦で様子見だったが、中東情勢も変化してきたし、そろそろ、手打ちだろう。また、これ以上、サムスンの独走を許すのは、中国にとって、半導体産業においても、レノボやファーウェイなどユーザーにとってもプラスではない。ベインのスキームは不明朗なところがあり、ハイニクスへ売られるのではとの懸念はあろうが、ハイニクスは、DRAMは強いが、NANDは弱い上、そこは、日本政府なりがガードするだろう。
4月2日時点のブログで記載の通りだ。「長引く、無理だろう、もともと期限切れで東芝本体に戻す」その他、様々な憶測がある。しかし、実態は、3月上旬の段階では、ほぼ問題なく進んでいたようだ。独禁法では、巨大ユーザーの理解重要だが、ファーウェイやレノボなども、関係者の努力もあり、合意していたようだ。では、なぜ、遅れたかというと、ここにきての、米トランプ政権のスーパー301条発動など貿易戦争開始と中国の対立である。その中で、米も関係する東芝メモリの独禁法承認は、格好の取引材料になる。そこが今後の見通しの鍵にもなる。トランプ政権の狙いは、中間選挙であり、国民が夏季休暇にはいる6月末までが勝負だ。6月が東芝の株主総会、7月がベインの売却解除権もあり、微妙なタイミングではある。」https://www.circle-cross.com/2018/04/02/なぜ中国独禁法承認が遅れたか-今後の見通し/
足元は、OPMは40%と高いが、Depが売上高比で5%程度という低さであり、微細化、3D化が遅れ、目先利益優先だったことの裏返しだ。これまでは最低でも15%はあったが、どんどん進めるべきだろう。
5月15日14時半からマスコミ合同の決算&Nextプラン説明会に参加、質問もした。車谷CEO、綱川COO、平田CFOが出席。複雑な多元連立微分方程式を解いた綱川/平田両氏は、淡々としながらも、少し自信の様子であった。
プレゼンは、綱川氏の挨拶と方針、平田氏の業績詳細、車谷氏のNextプランに向けてという順番だが、Nextプランは、計数的な中身よりは、理念など考え方など方針が中心だった。綱川氏は、業績回復と債務超過回避で上場維持だが、単独では分配可能金がマイナスであり、無配であること、Nextプランを車谷氏と共に進めることを強調。車谷氏は、メモリ社売却方針は不変、中国独禁法承認についても、ネガティブな話はなく、万が一を想定してないとした。また、メモリ売却後に株主還元も示唆。Nextプランでは、22事業をグローバル視点でベンチマーク、ボトムアップで計画策定中のようだ。全社では、変動費調達など原価率改善方針。秋頃に、数字など詳細発表の予定。
質疑は、メモリ社売却の件、新生東芝の稼ぎ方などが多いが、車谷氏が中心で一部CFO、綱川氏は無かった。その後のアナリスト向け質疑会は途中で退出したが、HP視聴で確認、また、翌日のIRスモール会議も参加、質問で不明な点を確認した。
業績はメモリ含めれば27年ぶり過去最高益
2017年度業績は売上3.95兆円、OP641億円、NP8040億円。NPは継続事業分で1443億円、非継続で6961億円から非支配持分帰属利益364億円控除から。株主資本は1.3兆円増加(WH関連債権、LG社売却3400億円増、減損やリストラで1300億円減、メモリも含め増益5300億円、増資6000億円)で、7831億円、17.6%へ回復。純資産は1兆円超え。Debtも4913億円減り、ネットDebtレシオ24%へ。継続事業NPは、LG社株式売却668億円、ブラジル子会社譲渡損失324億円等があり、1443億円であった。
非継続事業NPは6961億円だが、これは、メモリ社とWHの合計の税前利益7219億円(うちメモリ4657億円、WH2562億円)から、実効税率見合い税金2231億円とメモリ非適格分割評価益に関わる税金2485億円はあるが、WH関連税金費用減少4458億円による税金費用減がある。
なお、メモリ社非継続組み換え前では、2017年度は、売上5兆円、OP5295億円、うちメモリが4791億円と大半を占めるが4QのみDep160億円が入っておらず、実際は4630億円。
実態は、メモリ分が80%、新生東芝分が20%の1000億円強
エネルギーは火力が厳しく赤字148億円、インフラが480億円、リテールが270億円、デバイス(メモリ除く)473億円、インダストリアルICTが13億円、その他でPC赤字96億円、映像が赤字86億円、全社消去が450億円程度。
全社消去などを除くと、実態はメモリが4630億円、新東芝分が1088億円と20%程度を占める。
今期は100円前提で微増だが、実態はOP1000億円規模
今期は非継続事業を除くベースで、売上3.6兆円、OP700億円、NP1.07兆円。LG社やTV売却で1127億円、為替100円影響1500億円ある。為替100円が極めて保守的であり、この要因の200億円分を除けば、実態はOP1000億円規模であることが強調された。NPには、メモリ社売却益9700億円を含む。
セグメント別では、エネルギーがロスコン引当なくなり、OP80億円で黒字化、インフラは公共が厳しくOP370億円で減益、リテールもOP190億円で減益、デバイスもOP210億円で減益。
デバイスでは、ニューフレアは増益だが、HDD減益、ディスクリートは既に二桁利益率であり、加賀、姫路とも工場フル稼働で堅調だが円高分厳しめ、システムLSIは、前期80億円程度の赤字から車載など開発費増で赤字180億円だろう。ファウンドリのジャパンセミコンは稼働80〜90%の模様。
メモリ社の影響
メモリ社の影響が複雑かつ不明点が多い。1Qは非継続事業としてNPには税前で800億円、2Q以降は持ち分法として、2018年度として500億円を見込んでいる。
メモリ動向
メモリ社のB/S。
中期の姿
17時からの説明会に参加、ここのところ、大島CFOだけだったが、久しぶりに、東入来CEO、有賀COOが出席。プレゼンも質疑対応も東入来、大島両氏で、COOも役員も退任となる有賀氏は、挨拶も発言の機会も無かったのが残念だった。質問はまだ残っていたが、打ち切られた。
経営陣とガバナンス
今回、東入来氏は代取CEOのままだが、JOLED代取社長は退任、取締役会長となる。後任は石橋氏。また、有賀氏は退任、技術顧問へ。新COOは、車載向けディスプレイを牽引してきた月崎氏となる。東入来氏の人事は、質疑で、JOLEDがJDIの子会社とならない以上、今後、利益相反などのガバナンスリスクがあるためと回答。これは、以前から指摘していた通りだ。
JDIとJOLEDは生き残れるか2017年 12月 25日 月 続きを読む
有賀氏は経営責任をとって退任で潔いともいえるが、むしろ、残念だ。初期の頃を除き、実際は、INCJから派遣の役員や、落下傘でCEOとなった本間氏や東入来氏の下では、十分な経営手腕を封じ込められたままであり、不完全燃焼だった。月崎氏が同じ境遇にならないよう願うばかりだ。
業績は厳しい
2017年度はやはり厳しく、大幅な赤字、「OP赤字500-100億円、NP3000億円規模も」、と指摘してきたが、その通りとなった。粗利が赤字という厳しさ。自己資本比率13%まで低下、債務超過直前だったが、350億円増資で自己資本比率18%まで回復。
ジャパンディスプレイ(JDI)の2Q決算(11月8日)〜厳しさ続く2017年 11月 26日 日 続きを読む
売上7175億円、OP赤字617億円、減損1038億円もあり、特損1423億円計上で、NP赤字2472億円。特損により、減損からDep200億円減、賃金分300億円で、計500億円の固定費削減効果。
会社側は、2018年度は売上10〜20%増、Opm2-3%と回復。単純計算すると、売上7890〜8610億円、OP160〜260億円となる。フルアクティブ液晶がスマホ向けに寄与、車載向けも1000億円をこえ、堅調。
明るい兆し
牛田社長、岡CFO、質疑は、萩原氏、御給氏が対応、FPDの村松氏は欠席。リストラ段階から成長段階へ。ROE8%を持続的に維持。
業績は上ブレ、一段落から成長へ
業績は2017年度が売上7200→7170億円、OP530→562億円、NP300→347億円、精機が、SPEが健闘で上ブレ、半導体露光は黒字化。デジカメは下ブレ。精機で前受金が大幅増で、FCF改善。
2018年度は売上7450億円、OP700億円、NP600億円、精機はFPDが牽引、半導体も堅調、固定費削減効果も大きい。
R&Dは成長性や資本コスト、目標ROEから適正か?
会社計画のR&Dは8%から9%へ。
ここに、筆者が考案した、若林のR&Dと割引率に関する恒等式命題(検証中)を当てはまると、
(1+R&D)(1+割引率)=λ(1+成長率)(1+ROE)、λ=1
<左辺はイノベーションに対するリスクテイク、右辺は、利益拡大の目標を示す> において、R&D9%、割引率7%、ROE8%は明示されているから、成長率が8%だとすると成立する。8%成長が3年続けば、売上はかつての1兆円規模となる。すなわち、(1+0.09)(1+0.07)=(1+0.05)(1+0.08) が成立する。
しかしながら、セグメント別には、精機と映像で違和感がある。端的にいえば、精機が低く、映像が高すぎる。産機もやや高い。共用部門はもっと大きくてよい。
5月11日13時より日清紡HDの説明会に参加、質問もした。会社側の出席者は、いつもの河田社長、村上専務等の他、JRCの荒社長(日清紡取締役)、新事業担当の木島取締役など。今回は、昨年の日本無線の上場廃止、紙製品事業譲渡、ZMP出資、リコー電子デバイス統合、先日の新日本無線の上場廃止など話題豊富。JRCモビリティ設立が大きな布石。なお、決算期変更で12月決算となる。
業績はポートフォリオ改革メド
業績は、2017年度は、売上5200→5120億円、OP150→150億円、NP200→265億円と堅調。特別利益は、紙事業譲渡117億円と土地売却55億円など。
2018年度は決算期変更で12月決算、売上4350億円、OP35億円、NP50億円。
ポートフォリオ組み換え
この10年で日清紡のポートフォリオは、繊維や紙、不動産から、エレキへと大きく変わった。経営資源をオートモーティブと超スマート社会関連にフォーカス、M&Aも活用。
5月8日16時半より開催のマスコミ合同の決算説明会に参加、質問もした。プレゼンは、鎌上社長、質疑では、数字で星CFOも対応。実績がブラジルATMの苦戦などで下方修正、質疑はメカトロ事業に集中した。
なお、31日に昨年から実施の事業部別説明会があり、ここで詳細戦略が紹介されるようだ。残念ながら教授会があり参加できない。中計2019年度は売上面の見直しが必要だろうが、OPM6%、自己資本比率30%は不変だとした。
コアのATMが海外苦戦で業績下方修正
業績は2017年度売上4550→4380億円、OP130→77億円、NP80→59億円と下ブレ。
2018年度は売上4500億円、OP140億円、NP50億円。
海外が鬼門
改めて、海外は同社にとって鬼門だ。
セグメント別コメント
長期業績と経営重心
財務が弱いOKIは、長期では、リスクが高く先行投資負担が重い、DRAMなどを切り離し、ジャパンストライクゾーンにフォーカス、業績は安定してきた。
5月8日10時より開催の決算説明会に参加、質問もした。業績好調、決算期変更などもあり、参加者多数。プレゼンは、業績が森田氏、中期戦略は小倉社長による恒例のフォワードとデフェンスの戦略説明。
しかし、翌々日の10日に、親会社である日清紡による完全子会社化の発表があり、9月1日に上場廃止となるため、これが最後の説明会であり、上場会社の新日本無線としては、最後の質問が自分だった。おそらく、説明会参加回数、質問件数では、トップだろう。ただ、上場廃止だが、会社が無くなるわけではなく、日清紡の説明会の中で、デバイス部門として説明は続けられるだろう。
上場30年弱のパファーマンス
この30年弱のパフォーマンスは、累積OPが528億円、累積NP122億円、平均OPM3.3%、標準偏差5.2%、シャープレシオ0.64であり、半導体メーカーとしては悪くはない。
2017年度から2018年度の業績
2017年度は売上517億円、OP21億円、NP25億円、前期の固定資産減損反動。スマホ系の調整で、ガリヒ素が弱いが、クルマ産機が強い。
2018年度は売上決算期変更12月決算となるため、短信の上では9ヶ月の売上405億円、OP21億円だが、参考として開示されている2019年3月までの数字では、売上540億円、OP33億円、NP30億円となる。
中期戦略~センサーとモジュール化
旺盛なクルマ向けは2022年まで、TIER1から引き合い受注が強く、顧客も、国内から海外へ広がっている。
アナログ半導体業界の急拡大と再編の中で上場は足枷か
アナログ半導体業界は再編が進み、トップのTIはシェア20%で不変だが、2位以下は、アナログデバイセス、リニアテクノロジーの合体など再編が進んでいる。もはや、売上1000億円ないと、設備投資や開発負担も含め、規模感で生き残れない。
5月9日17時から開催された決算説明会に参加した。参加は久しぶりで、昨年8月以来である。出席者は、樫尾和宏社長、高木専務、IR田村氏、司会は佐々木氏。これまで、本決算は、社長、それ以外は、高木専務がプレゼン、質疑は高木氏であることが多かったが、今回は、プレゼンは樫尾社長、質疑も社長が中心に丁寧に回答、一部、田村氏が補足。高木氏の回答はなく、最後に6月で退任であるという挨拶のみだった。高木氏は、20年に亘り、説明会で対応された。
新体制でのIR姿勢
樫尾和宏氏が社長に就任後、IR体制も変わる中で、実質的に初めての説明会だが、印象は良かった。
樫尾和宏新社長の経営手腕
業績未達ながら、質の面で目指した、①強い事業高収益極大化、②課題事業の赤字体質払拭、③新規事業立上げは、着実に進展し手応えを感じたようだ。
さらに、3月以降、の組織機構改革に期待したい。
業績
2017年度は、売上3148億円、OP296億円、NP196億円。
2018年度は、売上3400億円、OP350億円、NP230億円。
経営重心
経営重心では、かつて、デバイスやスマホから撤退、今回、デジカメも撤退で、経営重心は、更に左下へシフト。
5月7日10時半より開催の説明会に1年ぶりに参加。今回は、4月3日に創業者でもある前代表取締役会長である牧誠氏が逝去(同氏は、先立つ10月には代表権を返上)、シマダ屋の経営統合、など大きな変化もあり、同社の経営の行く末に関心も高く会場は満員、質問も多かった。プレゼンは、これまで通り、副社長の松尾氏、司会はIR生出氏。
転換
説明会の資料や開示の仕方がやや変わった。これまで、コア子会社のバッファローの製品カテゴリーを中心に、周辺製品、サービス、金融、という分類だったが、周辺と金融、そして新たに、今回、シマダ屋統合で、IT関連、食品、金融となった。
業績
2017年度業績は、売上723億円、OP53億円、RP64億円、NP52億円。売上とOP等は減収減益ながら、NPは過去2番目、ROE12%。EPSは自社株買いもあり過去最高。年間配当は記念配当も含め75円。総還元性向80%が目標だが、77%まで来ている。
2018年度業績は、昨年度に続き、見通しが困難だとして、非開示。
PC周辺機器業界
PC周辺機器業界は厳しいが、トップシェアは維持、安売り競争に巻き込まれないことが重要。
森の経営、1000年企業などメルコバリュー
メルコは、創業40年を経過し、オーナーであり創業者の牧誠氏から、寛之に経営継承され、事業もPC周辺の依存度は下がり、ビジネスモデルも売り切りからリカーリングに替わる。
シマダヤとの経営統合は、ITと一見遠い食品分野だが、逆にITとの掛け算によるシナジー効果は大きいだろう。こうしたクロステックがM&Aでも重要だ。前会長が導入した森の経営も、多くの異なる樹木が増え、しっかりと根づいてきた。
経営重心に関する一連の命題で、日本企業は、市場台数で1億台のオーダー(桁)を超え、事業サイクルで3年未満になると負ける、という法則がある。これは、ANDであり、ORではない。
実際、1億台に近いレベルだが、サイクルが長い白物家電やクルマなどは日本が善戦している(ただ、これも1億台を大きく超えると難しいように考えるし、かつ、そういう場合は、サイクルも短縮するだろう)。
ジャパンストライクゾーン
1億台という数字
日本の企業人の桁違い成長市場に慎重な心理
日本市場含め先進国中心なら1億台程度
3年以下で生産体制を立ち上げ、回収できるか
1億台を超え3年サイクルの事業は1兆円規模の投資リスク
事業サイクルが長ければ
台数増とサイクル短縮化が同時に起こりジャパンストライクゾーンを外れる
ジャパンストライクゾーンの外れ方
経営者や投資家などは、誰しも、イノベーションの成功確率を上げたいと思うだろうが、現実には、成功確率を上げようとすると、知らず知らずに安全なテーマを選び、リスク回避で、大きなイノベーションでなく、小さな成功になってしまうだろう。
それゆえ、一般的に、イノベーションの大きさ度合と、成功確率は反比例するというのは、妥当な仮説だろう。ただ、その曲線の凹凸は不明であり、イノベーションのリスク(正確には、通常のリスクと不確実性(フランクナイトのリスク)の種類や戦略によるのだろう。
よって、下手に、成功確率を上げるのではなく、回数を増やし、多様性を増すことが鍵だろう。質より量であり、最近のアジャイル開発なども、同類の傾向だろう。
では、イノベーションのリスクをコントロール方法する方法が全くないかというと、そうでもなく、金融のポートフォリオ管理での、「バーベル戦略」が有用である。バーベル戦略とは、安全な資産を70-90%とリスク資産10-30%を持ち、運用するやり方だ。安全資産で、安定収益を稼ぎつつ、タイミングを待ち、リスクの相対評価をするわけだ。
偉大なイノベーティブな業績は、喩えは、適切でないが安定した「暇」な仕事の傍らで達成された例も多い。株の運用でも、打率でなく、ホームランが大事だという。
本来は、このリスク資産こそが、真のR&D(正確にはR)であり、R&D費10%というのは、そういう、大きなリスク、不確実性、ナイトのリスクも含め、いつまでも待てるようなテーマを持つということなのだろう。これは、大企業や政府的な予算管理では到底無理であり、篤志家によるリターンを期待しない寄付などが望ましいのだろう。
村田の業績下ブレの背景は、ハイエンドスマホ向けに導入した、メトロサークという新技術の苦戦だ。今後、スマホだけでなく、多くの分野で可能性もあり、論考したい。
液晶ポリマー樹脂多層基板
製法は接着剤レスの一括プレス、部品搭載は印刷で
現在は数百億円、中期では1000億円でOpm10%狙う
生産増強
リスク要因
経済産業省産業技術環境局大学連携推進室が4月20日に公表した、社会人を対象とした理工系人材の需給実態等調査結果が4月20日に公表された。
産学連携や社会人向け教育に向け、経産省が政策を考えており、その裏付けとなる調査だろうが、大変興味深い結果だ。
どの業種でも、AIや統計はニーズが高いが、地味な分野も
人財の採用や需給
5年後に不足する分野は機械
4月27日9時半開催のローム説明会に参加、ただ、質問の途中で退席、最後の新社長の挨拶は聞けなかった。リーマンショック後、3.11もある中で、この8年業績回復に努力してきた澤村社長は68歳となり、退任、昨年、専務となった64歳の藤原氏が新社長、営業畑出身。やはり、トップ交替だった。
業績
業績は2017年度3971億円、OP570億円、NP372億円。2018年度は売上4200億円、OP580億円は控えめ、NP440億円。
CAPEXは600億円計画→559億円、やはり、検収ずれ込みで下ブレ2018年度は、780億円、前工程、後工程、内外で、キャパ増強に加え、一部、老朽工場のリニューアルもあるだろう。
創業60周年
2018年度は9月に創業60周年、売上は4093億円の過去最高を上回る4200億円、OPのピーク1377億円はなお遠いが、一定の成果といえよう。
京セラの決算説明会が4月27日13時から開催され、参加し、質問もした。プレゼンは谷本社長、質疑は青木氏も対応だが、社長から積極的に回答。
業績2017年度はソーラー材料を引当損失502億円など
決算は、2017年度売上1.58兆円は過去ピーク、OPは後述のソーラー材料引当損失等で956億円、事業利益1319億円、NP818億円。CAPEX865億円、Dep701億円、R&D583億円、111円/$、130円/€。
ソーラーのポリシリコン材料を502億円引当損失。契約の価格を下回り、2年間在庫と2020年10月までの契約上の未購入も含め処理。30%の材料コスト低減効果があり、売上拡大に使う。また、AVXの一時損失110億円もあった。
2018年度はIFRS導入、環境はいい
2018年度は、売上1.65兆円、OP1540億円、事業利益1900億円、NP1340億円。CAPEX1100億円は過去ピーク。IFRS導入の影響は売上で500億円、OPは100億円、内訳は、Dep定率から定額で150億円、年金が50億円マイナス。Depは750億円、R&D700億円も過去最高、5G等。為替105円/$と厳しめ、130円/€。
経営環境は、SPE向け部材、半導体パッケージ、デバイスが強く、ソーラーも減損一巡で増益、黒字化。
先行投資
SPE向け部品は鹿児島、八日市でキャパ増20%。セラパッケージはIoTカメラ向けが強く、川内工場でキャパ25%増。
製造部門で、AIラボやロボット活用センターを導入、生産性や自動化を進める。これまでは、事業部毎にマーケティングやR&Dを展開したのを、部門を超えた横断組織を活用、IoT、ADAS、エネ、医療など重点テーマにフォーカスした新たなマーケ組織を導入。
車載、5G関連、メディカルでプロジェクトを始め、社外との協業も進める。
M&A多い
M&Aも、昨年だけで、SENCO(空圧工具)、RYOBIの電動工具、TTエレクトロニクスのクルマセンサ、イーサトロニクスの無線アンテナ、データバンクのECMなど。
IoT時代に、KDDIとの関係、通信とエネルギーの関係
今後、IoT時代に、ソフトバンクも布石を打っているが、KDDIも同様。
4月27日15時半〜16時半で東京本社開催の決算説明会に参加。竹村氏、中島氏、石谷氏など幹部が出席、プレゼンは経理部の澤田氏、質疑では、中島、石谷両氏が多かった。参加者も質問も多数。
実態はOP横ばい
業績は、2017年度は売上1.36→1.37兆円、OP1700→1621億円、NP1440→1461億円、OPは下ブレ。
2018年度は、売上1.57兆円、OP2400億円、NP1800億円と、一見増収増益だが、会計処理で償却方法を定率から定額に変更、この影響は675億円あり、実態のOPは1725億円と横這い圏。
メトロサークとソニー電池が苦戦
実績の4Q下ブレも、同社らしくない。
MLCCはタイト
他方、MLCCは、クルマ向けも含め、一層タイト。
5G対応
4月25日16時15分より開催の1Q説明会に参加した。プレゼンは、いつも通り、田中CFOだが、会場が違うせいか、出席者や資料の雰囲気が変わったような印象。質問も、これまではオフィス機器等に関するものが中心だったが、今回は、メディカルやOLED蒸着機が目立った。
業績そのものは、1Qだけゆえ、年間見通しは不変、売上4.3兆円、OP4040億円、NP2800億円。メディカルが一時要因で減少、OLED蒸着機、ネットワークカメラは好調。なお、サービス売上と年金処理に関して会計基準変更で、OPが4200→4040億円。
メディカルは、1Qの売上1171億円、OP105億円、年間の売上4700億円、OP270億円は不変。前期1Qがイレギュラーゆえ、y/y11%減だが、2Q以降は成長加速。統合シナジー効果や品種絞り込みを期待。中期では2020年にOPM10%だが、シナジーやコストダウンが奏功。2016年度は4%だったが、2017年は5.2%、2018年5.7%と徐々に改善へ。
産業機器は、露光装置が、SPE、FPD共に好調持続、OLED、ネットワークカメラも二桁増。トッキのシェアは維持、フル稼働で2年バックオーダーであり、アネルバやマシナリ役割分担で生産性アップ。
経営重心分析では、キヤノンのメディカルやネットワーク、トッキのM&Aは、結果的には、ジャパンストライクゾーンを埋め、危険な2コア型から、脱してきていることがわかる。
富士通ゼネラルの決算説明会が4月25日13時〜14時過ぎまで開催され、参加した。プレゼンは、庭山CFOに続き、斎藤社長。近年、業績好調もあり、参加者が多く、今回も満員だった。
業績と中計は下ブレ
2017年度業績は下ブレ、売上2623億円、OP202億円、NP129億円。空調が、ルームエアコンがピークアウト、ビル用マルチ(VRF)は好調、情報通信は消防が一巡、デバイスでは、カメラ等が好調。
2018年度は、売上2850億円、OP170億円、NP120億円と減益。業績は2015年度をピークに減少が続く。空調では、冷媒その他、アルミや銅など材料や部品のコストアップも30億円あり、コストダウンでカバーできず。
中計でも、2020年度の4000→3500億円、OP400→350億円、2022年度が売上4000億円、OP400億円と、2年後ろにずれた。M&A先の立上げ遅れもある。
中期戦略と経営重心
空調中心に、インドなど海外強化、北米は提携、M&Aも積極化、R&Dも強化、川崎に新棟建築。2022年から、消防関連の更新需要が始まり、かつてのピークの半分だが、期待はしているようで、消防での強みを生かし準備。経営重心視点では、広がり過ぎだろう。
日立ハイテクの決算説明会が4月24日に開催され参加した。前週は、17日発表のSPEのラムリサーチの決算での4-6月成長鈍化、19日発表のTSMCの今期通期の売上見通し下方修正で、半導体関連株価が下落する中で、同社の決算に注目が集まり、ハイテクでは最初の決算説明会ゆえに、満員で、質疑も、半導体動向が多かった。
業績
2017年度は売上6465→6877億円、EBIT536→552億円、(調整後)OP510→555億円、NP390→409億円と上ブレ、SPE関連が強い。
2018年度は売上7800億円、EBIT/OP630億円、NP450億円と最高益更新。ROEは11%目標。為替は105円/$、130円/€。
中計進捗
中計では、新しい時期の目標数字はなく、2018年度に向けての、市場伸び以上成長性、EBITに占めるサービス比率、収益性(EBITマージン)などのKPI進捗確認。
半導体市況は不変
4月26日17時より東京本社(シーバンスビル)で開催の決算説明会に参加。プレゼンは野村副社長、質疑は榊原氏等。参加者、質疑もそれほど多くない。
業績、実績は10年ぶり最終黒字だが
業績は、売上2.43兆円、OP901億円、NP702億円とほぼ想定線。
2018年度は、売上2.89兆円、OP1100億円、NP800億円と増収増益を見込むが、やや違和感。IoTデバイスやパネルがリスク。
4月27日10時半より決算説明会と中計2020発表に参加、質問もした。説明者は、橋本会長、濱田社長、PQA担当の新美氏、質疑は窪田氏も参加。濱田氏の質疑対応に自信と誠実さを感じた。
業績
2017年度決算は、4Q受注が5G新製品の貢献で、243億円(T&M166億円)と、y/yマイナスながら、q/qは回復、年間では、受注も売上も未達ながら、利益は上方修正。受注910→885億円、売上910→860億円、OP44→49億円、NP30→29億円
2018年度は、受注920億円、売上920億円、OP66億円、NP50億円と、大きく回復。為替105円/$想定、1円で1億円の影響ゆえ、110円なら、OP70億円となる。
GLP2020発表
2014年3月に作成したGLP2017計画は、大きく未達となったが、背景は、モバイルが30%落ちると見ていたのに60%減、5Gが1年以上前倒しでR&D負担が増えたため。しかし、2000年以降、ITバブル崩壊、リーマンショック、今回の端境期と3つの大波があったが、今回は何とか底割れは避けられたことは評価されよう。
今回のGLP2020発表。売上1050億円(T&M700億円、PQA260億円)、OP145億円(T&M100億円、PQA30億円)、NP110億円。T&Mでは、同時に、202X年に売上1300億円以上、OP240億円以上(実際は、T&Mが売上1000億円、OP200億円、PQAが売上300億円、OP40億円)。
業績は、過去、8年サイクルカーブで変動しており、前回は2012年が3GやLTEでピークだったが、2020年は同水準、ただ、前回がT&M一本足だったが、今回はPQAも大きく育ち、二本足となる。
ポートフォリオで周期と位相を変えれるか
同社は、ユーザーの先行投資などに依存する微分型産業であり、サイクルに翻弄される宿命にある。
規模の差をどうするか?
T&Mは、ライバルに比べ、規模などで差が大きい。
ACEはプラスへ
同社のKPIは、ROEとACE(税引き後OP-資本コスト(WACCは5%を前提)だが、後者については、2015〜2017年度の3年連続でマイナスだが、今後はプラスにいけるようだ。
若林のR&Dと割引率に関する恒等式は成立するか
ここに、筆者が考案した、若林のR&Dと割引率に関する恒等式命題(検証中)を当てはまると、成立している。
4月25日17時半より、決算説明会に参加。常石会長、河合社長、笹川経理部長など。いつも、登場していたが、突然、退任された堀CFOの姿はない。冒頭、常石会長の挨拶のあと、笹川氏より、業績説明、河合社長より経営環境と予想。質問は、半導体市況などの他、CFOの件も出た。
常石氏の挨拶が印象的で、トランジスタ発明70年だが、これは、PCなどハードが牽引してきた第一幕に過ぎず、今はデータが牽引する第二幕に入り、ますます半導体産業は発展するとのコメント。
2017年度は、売上1.1兆円、OP2812億円、NP2043億円と上ブレ、最高益更新。OPM25&、ROE29%は、グローバル水準だ。2018年度は、売上げ1.4兆円、OP3660億円、NP2700億円を計画。
SPE市場には強気継続
SPEのWFE(前工程)市場は、2017年は51bil$から、2018年58bil$へ。これまで30bil$水準が、50bil水準となる。
堀CFO退任の件
堀CFOの退任については、役員会の詳細はNAだが、そもそも、CFO職が前期初めてであり、途中で、見直した、という回答にヒントがあろう。
4月25日10時より決算説明会と質疑、11時より、ジェンマーク社、エンブラコ社、2件のM&Aについて、説明会と質疑。今回、吉本COO初登場、M&Aの件では、サンキョーの平沢社長、エンブラコでは、バルター氏が説明。話題性も多く超満員、質問はM&A関連や中期の話が多い。
業績、好調だが円高リスクを指摘
業績は、2017年度は、売上1.48兆円、OP1676億円、NP1211億円と最高益更新、2018年度見通しも、売上1.57兆円、OP1900億円、NP1450億円。もし、OP2000億円達成なら、日本で、ベスト50以内には入ることになり、一つのラインを超え、2020年度のOP3000億円が見えてくる。
なお、永守CEOは、吉本COOを、永守経営を、短期間で習得、我流でなく、きちんと受け止めていることを評価、海外のPMIなどを任せるとした。
M&A、PMIの鍵
吉本COOは、PMIの鍵を、スピードと細かさだと指摘、当たり前のことを早く回すことだとした。また、永守CEOは、スピードとプラットフォーム合理化だと指摘した。
EV化でクルマはケーレツ崩壊、水平分業へ
クルマについては、オーガニック成長であり、トラクションモータでシェアアップを図る。
ジェンマーク社
搬送ロボットメーカー。サンキョーが100%取得。
エンブラコ社(ワールプール社のコンプレッサ部門)
バルター氏が率いるグローバルアプライアンス部門が買収。
村田がスマホ偏重脱却で、投資の軸足を、EV向けに移すようだ。4月19日の日経では、EV関連のモーター、インバーター、向けで関連するセラコンを出雲やフィリピンで新工場を建築、2019年までに500〜1000億円を投資。https://www.nikkei.com/article/DGKKZO29535940Y8A410C1MM8000/
ここ数年のM&Aや提携を見ても、ソニーの電池、指月への出資など、スマホ一本足から、クルマや産機、重電など多角化は明らかであり、経営重心でいえば、左下だ。
日経新聞はじめ複数が東芝のメモリ売却に関し、中国当局の独禁法審査が、最終期限の5月28日から遅れた場合について報じている。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29702150S8A420C1TJC000/
会社からは正式な開示がなく、方針どころか、審査期限も否定している。記事にあるように、メインバンク等への報告からのリークか一部のトップからのリークだろう。
日経と他で報道ニュアンスに差
日経では、①当局から期限までに承認(シナリオ1)、ベイン連合に売却、東芝は4割程度の出資を残すが徐々に減らしていく、②売却契約内容を見直し、再審査を申請(シナリオ2)、7月1日にはベイン側は違約金を払い、契約解除できるが、どれだけ時間がかかるか不明、③売却をやめIPO(シナリオ3)、である。日経では、いずれにせよ、メモリを分離する方針は不変という書き方だが、これに対し、毎日報道では、メモリを中に取り込むという可能性も書いている。
マクロ要因も影響
安倍政権の混乱、米中の緊張関係の中で、いろいろある。関係者が例によって、アドバルーンとリークだろう。官邸が変われば、いろいろ代わり、役員人事もゴタゴタと代わる可能性もあるだろう。その中での、おしゃべりな関係者が得意げに、話すとしたら、ガバナンス上問題だろう。当然ながら、他の内閣なら、官邸や経産省など人事も変われば、東芝への姿勢は厳しくなる可能性もあろう。ベインは中止として、最終的に、IPOの場合でも、INCJや車谷会長の出身のCVCキャピタル等、さらに10兆円以上のQコム買収が米政府の反対でできないブロードコムに関連して、シルバーレイク等のファンドが再登場もありえよう。ただ、その場合は、NAND市況の変化もあり、金額は大きく下がるだろう。
メモリを東芝本体が保有すれば、共倒れ
ベイン以外の売却でも、IPOでも、いいが、絶対にメモリは、外に出すべきだ。また、早く出さないと、NAND価格が下落している中で、価値は減ってしまう。メモリがあっても、複数事業で相関下げて分散効果で安定化するとの識者もいるようだが、ナンセンスだ。まさに、これがコングロマリット経営であり、世界中で否定されている。
確かに、金融では、ポートフォリオでは分散効果でボラが下がるが、ファンドと実業の差は、大きく、①EXITに時間差があり、②実業ではシナジーが大事。この違いを無視した暴論だ。もし、ずっと中に入れれば、三度、危機となり、今度こそ、政府も誰も、助けないだろう。
シャープレシオを考慮するとリターンの見方は違う
過去30年の東芝全体のOPMは2%、シャープレシオ0.53、半導体はopm7%、シャープ0.4だ。単なる利益率ならいいが、リスクが、東芝の財務のレベルを超えている。総合電機の全体と半導体部門の、OPMとシャープレシオを比べると、当然ながら、半導体は、OPMは高い例はあるが、シャープレシオは1以下と低い。こうしたリターン特性の大きな差こそが、東芝において、半導体を別会社化すべき根拠でもあろう。
理科大大学院MOTで、イノベーションに関連する講義を受け持っており、その中で、イノベーションの分類について紹介したい。そのタイプには、科学技術プッシュ、これに対し、デマンドプル、さらに、カップリングインタラクティブ、また、その程度で、漸新的、ほどほど、非連続、等がある。また、イノベーションのタイプというよりは、イノベーション戦略、あるいは戦略的に作られたイノベーションと呼ぶべきかもしれないが、ここ数年流行のオープンイノベーションとクローズドイノベーション、リナックスやWWWに見られたユーザーイノベーション、内視鏡の開発などリードユーザーイノベーション、マイクロファイナンスなど社会イノベーション、流行のデザインドリブンイノベーションなどがある。
シュンペーターの定義
イノベーションは、シュンペーターによって、初めて定義された。「
文科省の定義
文科省では、第3期科学技術基本計画において、イノベーションを「科学的発見や技術的発明を洞察力と融合し発展させ、新たな社会的価値や経済的価値を生み出す革新」定義付けている。
MITスローンの12次元のイノベーション分類
MITスローンでは、ビジネスイノベーションを12次元に分類している。
日経報道によると、EV向け全固体電池の開発で官民が連携するようだ。5月から経産省やトヨタ自動車、旭化成、パナソニックなど自動車や素材・電機大手が協力。旭化成や東レが参加するLIBTECに経産省が16億円を出し、パナソニックやGSユアサなど電池メーカー、トヨタなど自動車メーカーが安全性評価で貢献する。https://www.nikkei.com/article/DGXMZO29497520X10C18A4EE8000/?nf=1
R&Dの基盤となる材料評価に資金を投じるのは正しいだろう。
ただ、もともと、LIBTECは、NEDOの委託先であり、また、この金額では、やや大げさな印象だ。
LIBTEC(技術研究組合リチウムイオン電池材料評価研究センター)とは
LIBTECは、主要電池材料メーカーが結集し、2010年4月2日に発足した研究組合であり、経産省、NEDO、産総研の支援の元、「次世代蓄電池材料評価技術開発」という助成事業から活動を開始、2013年からは委託事業として、先進・革新蓄電池材料評価技術開発も進めている。
電池でノーベル賞候補としても名高い吉野彰博士(旭化成フェロー、名城大教授、九大客員教授)が理事長である。
シャープの危機を救い、成長してきた鴻海が、ここに来て、大きなリスクに直面している。もちろん、会社側も十二分に認識、グループ再編を始めているが、安心できない。鴻海は、世界の自由な貿易、資金の循環が、とめどもなく流れている場合は、大きく伸びるが、モノとカネの血流が滞ると厳しい。
鴻海の連結業績は、IFRSが2012年以降なので、それ以前は連続性がない。2012年以降では売上横這い、2016年は初の減収。OPはやや改善しているが薄利多売、GPは横這い。回転率は悪化している。
第一は、米トランプ政権のスーパー301条など米中貿易摩擦だ。世界で保護主義、貿易摩擦が激しくなれば、鴻海の中国工場などは厳しくなる。トランプ政権発足当時に、米工場も発表したが、それも無駄になるかもしれない。
第二は、これまでも指摘してきたアップル依存度の大きさであり、EMSの限界だ。足元のスマホの厳しさも、拍車をかける。
第三は、テリーゴー氏の年齢と後継者だ。グループ再編の中での次世代の経営者育成が注目される。
第四は、金融引き締めだ。元々、薄利多売ゆえ、金利が上がると厳しい。米中関係引き締めでマネーフローがあると大変だろう。
これらの対策は、ブランド戦略、シャープの活用だろう。
米スーパー301条発動や競争政策の変化、中国や南北朝鮮、ロシアなど世界情勢が大きく変わる中で、日本に生き残る産業と、その条件は何かを示したい。
ジャパンストライクゾーンにあるか、そこにコントロールできるサイクルとボリューム
規制を生かす、命や安全、産地が近く腐りやすい。
IT化が進んでも、モノそのものに価値があり、サプライチェーンが長いと鮮度が落ちる分野。地域や文化で志向や規制が異なり、特に安心安全を重視する分野は残りやすいだろう。これは地産地消型であり、自由貿易が困難になっても残り安い。
また、その中で、日本は、IoTと金融を利用、逆にプラットフォーマーに軒を貸して母屋を取られないこと、今後、経営者に求められるのは、現場を徹底重視とファンドや株金融リテラシーの両方を理解することだろう。
世界はピラミッド、ITや金融、エネルギーなどを頂点とし、その下に、政治力を持つ規制産業、その下に、ITハードやデバイスだろう。
世界から見れば、日本独自の規制があり、地産地消が需要な医療、農業などと、どうIoTで連携できるかだろう。これまで、日本は、円$レートで見れば、外貨を稼ぐ100円産業と労働を守る300円産業の二重構造であった。そのバランスで自由貿易経済と国内を使い分けてきた。その中で、今一度、2050年に向けた産業政策が必要だろう。
JDIの苦境を見て、他人事でないとシャープや東芝メモリの幹部が感じているなら、まだ正常だろう。今、厳しいJDIは、2年前なら、まだ、台湾も中国も買ってくれだろう。
多くの産業が保護されているだけで、いずれ、タイミングはあれ、電機と同じ問題に直面するだろう。ましてや、IoTで電機以外も、関係してくる。中国との競争も同様だ。
今や、電機の失敗の教訓を学び、他の産業、農業なども含め、戦略や政策を見直すべきだろう。
東芝メモリの売却に関し、中国独禁法の承認が遅れた理由に関し、もともと長引く、その他、様々な憶測がある。
しかし、実態は、3月上旬の段階では、ほぼ問題なく進んでいたようだ。独禁法では、巨大ユーザーの理解重要だが、ファーウェイやレノボなども、関係者の努力もあり、合意していたようだ。
では、なぜ、遅れたかというと、ここにきての、米トランプ政権のスーパー301条発動など貿易戦争開始と中国の対立である。その中で、米も関係する東芝メモリの独禁法承認は、格好の取引材料になる。
そこが今後の見通しの鍵にもなる。トランプ政権の狙いは、中間選挙であり、国民が夏季休暇にはいる6月末までが勝負だ。6月が東芝の株主総会、7月がベインの売却解除権もあり、微妙なタイミングではある。
NAND市況も予想した通り軟化している。売れる時に、売っておくことだし、サムスンや中国相手のメモリ事業など、現在のガラパゴス経営者がコントロールできると慢心しないことだ。
新年度を迎え、更に2019年は平成も終わる。この平成の後半は、日本の電機、とりわけ、デバイスでは、メモリとディスプレイ、そして、ITの没落の時代であった。
メモリとディスプレイでは、ライバルはサムスン、果敢な決断と強大な設備投資、それに韓国の政策も背景にあり、これに、決断が遅くファイナンスやポートフォリオを理解できない、相対的に無能な経営者、そして、グローバル性がなくガラパゴス的な産業政策では勝てるはずもなかった。そして、さらに今後は、中国という共産主義と資本市場の好いとこ取りをする強大なライバルが登場してくる。戦いは一層苦しいだろう。唯一のチャンスは、まだ存在しているカリスマOBなどの起用と、ライバルを共有する台湾などと組み、対中戦略を、立て直すしかない。
ITでは、英語の弱さ、日本語ゆえのスケール不足とプラットフォーム戦略への無知、またそういう状況を、モノ作り礼賛でよしとするガラパゴス経営センスだろう。これまでのライバルは、ウィンテルだったが、今はGAFAだ。ただチャンスは、競争政策の変化であり、これをトランプ政権と欧州と協調して、コバンザメ的戦略も含めて、うまくついていくしかないだろう。
この中で、ジャパンディスプレイは風前の灯、東芝も、メモリを中に戻すなら、再び財務危機破綻か、メモリ事業が存続できなくなるか、どちらかだ。世界中で優秀な経営者、膨大なファイナンス力がある巨大企業でも、メモリと重電をコアに持つ例はゼロだ。