生産技術を大きな専門分野としている東大精密のOBでもあることから、過去から、多大な関心を持っている。
しかし、どうも、工学の生産技術の大家と、経営学や経済学の大家が、議論したという例は聞かない。
血糖値をコントロールすることは、健康に重要だ。ヘモグロビンA1Cもあるが、これは1ヶ月程度の平均値の反映であり、日中の血糖値変動や食後の血糖値スパイクが、心臓病などには重要だとされている。かつては、自宅での血糖値は、時々に、針を刺して血を出しセンサーで測るというもので、誤差も多く、連続して日中パターンなどを測ることは難しかった。
しかし、リベレ社のものは、センサーを腕につけ(写真の丸いもの)、24時間、数週間分の血糖値を測定でき、便利である。センサーには針があり、そこから、血液をチャックするが、貼りつけも痛くない。入浴やプールも問題ない。液晶画面つきの測定器があり、腕に近づけると音がして、現在の値が表示される。また、直近の変動や6時間毎の平均値、過去の24時間パターンも解る。
円安がついに、145円を突破、150円も視野に入ってきた。これは、以前、マクロ経済は素人ながら、予想した通りである。財務大臣の記者会見、日銀も介入したが、一瞬は円高傾向になったが、流れを変えるまでには至らなかった。円買い介入2.8兆円 過去が示す相場反転の難しさ: 日本経済新聞 (nikkei.com)
マスコミや金融専門家は、日米金利差に注目した議論が多いが、長期の経済成長やファンダメンタルズに注目すべきだろう。その中で、経済教室の名古屋大齊藤教授は、金利差と実質為替レートに注目、より、本質的な議論を展開している。実質で見る破格の円安 日本経済、「体力」低下著しく: 日本経済新聞 (nikkei.com)
中期では、著書「デジタル列島進化論」の中でも、触れているが、「150-200円も」ありえ、円安を利用した輸出重視、国内回帰、自給自足、地産地消を強化だと、思う。
短期的には、日米金利差や日銀のスタンスが重要である。その意味では、日銀総裁人事が鍵だ。
GDPで2030年までの米中逆転はコンセンサスだった。これに関して、日経新聞の滝田氏が難しいのではないか、との論説ある。米中経済、幻と化す逆転劇 金融・安保に緊張高まる: 日本経済新聞 (nikkei.com)
過去も米への挑戦者として、1960年代のソ連、1990年頃の日本とも比較している点が面白い。ソ連では、社会主義経済の非効率、日本では、バブル崩壊と円高による産業空洞化、中国では、バブル崩壊、民間経済の政府統制、人口減少と急激な高齢化を指摘している。同時に、戦争状態になる、トゥキディデスの罠にも陥った。トゥキディデスの罠とは、米国ハーバード大学グレアム・アリソン教授(政治学)によって定義されたものであり、その意味は新しい覇権を狙う新興国が既存の覇権国とぶつかり、戦争状態になるということである。ホットウォーではないが、経済摩擦などは戦争に近いともいえる。面白いのは、日本が経済的には「社会主義国」だとすると、過去は、社会主義のチャレンジャーは全て資本主義に敗れたことになり、示唆が深い。有名な専門誌のフォーレンアフェアーズや、嶋中氏など、国際経済の識者は、過去に中国に厳しい指摘をしており、流石だ。
中国は超大国にはなれない―― 米中逆転があり得ない理由 | FOREIGN AFFAIRS JAPAN
嶋中雄二氏「次の覇権国、中国ではない」インタビューNext25Years - 経済・ビジネス|QUICK Money World –
研究者は、研究対象を広げていき、その手法を他の対象に広げる場合もあるが、オリジナルがあり、筋がいい場合は、専門外ながら、解ることもあり、そこが楽しい。また、説明も分かり易い。
何故か不思議で偶然とも言えない出会いが増えて、ネットワークが急速に密に広がる時は、その分野の市場拡大に結びつく場合が多い。過去、液晶や電池、フラシュメモリや移動通信の離陸期もそうだった。今回、それが、パワー半導体や実装で起きている。色々な人や知識の新結合が増えていることは、まさに、イノベーションが起きており、起きる条件が増えているということである。
最近の自然災害あるいは、子供等行方不明事件に関するマスコミ報道で、防災無線が利用されているのを目にする。本来は、地震や台風、洪水などの自然災害において、危険度合などの情報を、地方自治体等から、地域住民にスピーカーで放送的に伝えるものである。それだけでなく、行方不明事件はじめ、地域の様々な情報提供を同報的に伝える役割も多い。地域によっては、「夕焼け小焼け」のメロディーを流したりしている。無線というと無線通信のようなイメージをもちがちだが、むしろ、放送というか、大型スピーカー、戦前なら、空襲警報発令、さらに昔なら、火事を知らせる物見櫓の太鼓や鐘などに相当するだろうか。
アナリスト時代、90年代前半に、担当の電機メーカーでは、防災無線システムを納入している例も多く、何度かレポートを書いた。当時は矢野経済もネットも無かったので、ジュニアアナリストやアシスタントも使い、全ての県庁や主要市町村に電話で聞いたりして、規模やシェアを確認したこともある。
半導体市況が転換点を迎えているが、もっと厳しいのは、フラットTVやフラットパネルディスプレイである。
液晶TVを中心に、フラットTVは、2000年から急成長、2008年に1億台を超え、CRTを逆転、2010年には2億台を突破、インチサイズの大型化の中で、2~2.3億台で推移してきた。OLED-TVも、2017年以降、100万台を突破、2023年には1000万台との予測もあった。
しかし、2022年は、巣篭り需要の反動、$高、インフレ、ロシアのウクライナ侵攻による世界景気悪化で、マイナス成長どころか、初の二桁減、2億台割れの可能性もあるようだ。ここ数年急成長のOLEDも横ばい圏の7-8百万台のようだ。
玄人のアナリストの弱気、素人のマスコミの強気と、見方が対立していた半導体市況は、アナリストの予想通り、かつ、株式市場が織り込んでいたように、夏場に悪化が顕在化し、マスコミでも弱気意見が増えてきた。
ここにきて、東芝再編を巡り、報道が盛んだ。16日には、社外取締役で議長の渡辺氏の再編検討に関する発言もあった。東芝・渡辺議長「特定の利害関係者のバイアス持たない」: 日本経済新聞 (nikkei.com)
真偽不明だが、9月18日には、JIPの呼びかけにより、中部電力やオリックスなどのインフラ会社による出身検討報道があった。東芝再編、日本企業が出資検討 中部電力やオリックス: 日本経済新聞 (nikkei.com)
さらに、21日には、JICがベインと連携、JIPと解消するなど、再編を巡る動きが激しくなっているようだ。東芝再編、産業革新機構がベインと連合 従来の国内勢と解消: 日本経済新聞 (nikkei.com)
この状況は、2014~2016年頃の、当時の東芝メディカルを巡るファンド勢や事業会社の動き、また、シャープを巡る当時のINCJと鴻海の動きを想起させる。
今回、大きな違いは、島田社長のDXやQXを含んだデジタルによるプラットフォーム戦略が明確であり、時代も、新しい資本主義や、DXやGX、さらに、国家安全保障の動きがあることだ。
何度も言うように、これまでの「選択と集中」といった事業のばら売りは、時代遅れであり、DXやGXに貢献しながら、デジタルプラットフォームとして成長する戦略が不可能になる。上場維持か否かは形式論だが、非上場は時間や労力がかかる上、財務が痛み、これまでの改善努力が水の泡だ。
半導体の強化政策は各国で一層、熱を帯びている。マスコミ報道も、流石に、不足という記事は減ってきたが、相変わらず、政策関連や新規投資の記事は多い。いわば、社会面から政治国際面というところか。
市況に関しては、流石に、慎重なトーンが主流となっている。昨年の「半導体不足」記事一色の頃から、アナリストや専門家の多くは、2022年夏頃からの市況変化と下期からの落ち込みを予測、今回は、まさに、玄人が面目を保てたといえるが、素人も含め「不足」「楽観」記事満載時は、意見を変えない胆力と冷静さを問われ、ついつい大勢に流された「玄人」は暫く舞台から消えることになるだろう。ただ、株価は既に織り込んでおり、証券アナリストの多くは、慎重を維持するのに、胆力を試される程ではなかっただろう。
新MOT発足5周年を記念して、9月19日と23日の両日に亘り、シンポジウムを開催した。ホットな話題である半導体やデジタルの動向をテーマに、併せて、デジタル列島進化論の出版記念や部門長を務める総合研究院技術戦略金融工学社会実装研究部門(略称FESIでのSHIFT社とのDAAE思想に関する共同研究成果の紹介も兼ねた。
今回は、経産省の半導体デジタル会議の有識者やJEITA半導体部会の政策提言TF座長としての立場で日頃、志を共にする、産官学のキーパーソンを招き、9月19日は、13-15時、ビオンド2nmや政策、日米連携、9月23日は、13-17時まで、デジタルインフラやDX、実装後工程やパワー半導体について、プレゼン、パネル討論、会場からの議論を深めた。
昨年、理科大MOTを代表し、大学基準協会(JUAA)の認証調査を受けた。責任者として膨大な資料や報告書を作成した。おかげさまで適合認定を受けた(2021年は理科大と事業構想大学院大学)。指摘された課題解決計画等に対し、調査の半年後の進捗状況を、責任者として、説明した。今回、JUAA委員となり、委員として、質問や意見を言う機会があった。
R&D(研究開発)費の適性水準について、イノベーションリスク値とイノベーション期待値の関係を示したが、金融的アプローチから、成長率と利益率、割引率との関係式を導出、成長率と売上高R&D比率の相関関係を求め、また、これを、グローバルの主要テック企業の2008~2018年の業績データ分析から得た相関関係結果と比較を行う。さらに、他業界にも分析を広げ、2017年世界の研究開発費トップ20社についても比較検討を行い、狩野モデルの3種の品質と価値の関係(当たり前、一元的、魅力的)から説明、研究開発費も、「当たり前」に相当する最低限必要なレベルから、「一元的」に相当する、ある程度相関があるもの、「魅力的」に相当する飽和的なものに分けられる可能性を示唆する。
過去、マクロ統計データとDAAE思想との関係から、が収益性や成長性には重要な影響を及ぼすことが示唆できた。DAAE指数の構成要素は技術的特性、文化的特性が中心だが、それが経済的な数字と関連が強いことは注目できる。今回は、企業の公開情報により、DAAE指数を考案、企業の業績との関係を考察する。併せて、DAAEの経営における意味を、価値創造の視点で、狩野モデルを参考に考察を行う。
以前に、「目利きの優劣は、分析プロセスだけでなく、それより、むしろ、入力系に差異があるのではないか」という仮説から、簡単なアンケートとケーススタディによる検証を行った。すなわち、図のように、入力と出力からなる価値変換系の函数において、目利きにおいては、入力は単位系も含め、多様であるが、出力は、金額に換算可能な経済価値であることが重要である。出力系が、不明確なもの、価値評価を伴わないものは、目利きの対象ではないだろう。
東京理科大学大学院経営学研究科MOT専攻で5年ぶりの合宿を、9月8日から9日にかけて一泊二日で行った。2017年5月に、新2018年からの新MOTスタートを前に、新任教員として、一泊二日で、行って以来、5年ぶりである。今回は、専攻長の立場で、次期中計といえる新MOT3.0に向けて、その理念を撤退し、教員に実装を考えさせ、共有してもらうことが目的である。
ソシオネクストが上場する。富士通からカーブアウトされてから、注目してきて、何度かコメントし、CEATECでは、必ず、ブースにも立ち寄り、オフィスにも何度か見学した。そろそろ、タイミングかと思っており、世界でも日本でも、半導体が注目されている中で意義深い。
熊本のJASM、ビオンド2nm会社などの国内ファウンドリが期待されるが、日本でファウンドリが弱いのは、ファブレスが弱いことと裏腹であり、この上場は、ファウンドリにもプラスであろう。主力事業は、自動運転や5G基地局等であり、7nm製品の売上も増えている。現在は、TSMCが主要な外注先だが、将来は、国内ファウンドリのユーザーになるだろう。EDAの担い手としても期待したい。
ファブレス企業としては、メガチップスが近い規模だが、ソシオネクストは1000億円を超え、国内最大となる。粗利60%弱は、グローバル水準に近いが、SGAも50%、うちR&D費が40%近く、OP率は10%以下となる。営業利益水準はメガチップスと同等である。メガチップスは粗利が20%、SGA10%であり、日本的ファブレスである。
実装エレクトロニクス学会のMES2022が大阪府立大であり、初日の9月5日午後、特別セッションで、チップレットについて講演、その後、パネル討論を行った。大ホールで50~100名程度、その他、ZOOM参加多数であった、MOTからも、私の他、社会人学生が昭和電工2名、三菱UFJ2名がリアル参加した。
午後特別セッションのテーマは、「日本半導体産業再生の最後の機会を逃さないために、今、後工程・実装業界がすべきこと~今後の業界構造を激変させるMore Than Moore、チップレット、光電融合などの動きにどう備えるか~」であり、経産省の新沼氏による政策動向、元インテルのコンサルタント亀和田忠司氏(AZSupplyChain Solutions)によるパッケージ産業動向、元IBMでチップレットの専門家の西尾俊彦氏(株式会社SBRテクノロジー)によるチップレット動向詳細、NTT石井雄三による光電融合/IOWN、そして、小生による「More Than Mooreは半導体業界再生の機会、チップレット化で激変の業界構造とモノづくり」、その後、公務急用で退席の新沼氏を除く講師3名と司会の大阪府大の齊藤先生、長瀬産業で元IBMの折井氏でパネル討論を行った。
質疑は、新沼氏には政策動向やプロジェクト開示など、小生には新沼氏の分まで様々な質問が集中した。日本版NSTCや人財などは関心があるようだ。
パネル討論では、小生のパワポを使い、半導体政策の3ステップの評価の再確認、チップレットで如何にモノづくりが変わるか?業界が変わるかについて、活発な議論があり、予定の1時間を超えて、1時間半程度盛り上がった。
半導体メーカーの売上R&D費は、今日、15%程度は最低ラインであり、20%が常識である。ファブレス、は20%、IDMもインテル等は20%だ。日本でもルネサスは15%程度となっている。
これに対しは、世界最大のファウンドリ、最先端ノードのビオンド2nmを手掛けるTSMCは10%程度(6000億円)である。SMICやUMCも10%以下であり、ファウンドリは、製造技術のみで、新製品開発はなくソフトそれ程ではなく、多角化や新規事業も無いので、それが通常かと安易に考えていた。
これについて、5nm/7nmなどノード別に粗利率を考え、SMICやUMCの場合と比べることで、分析する。なお、数字は2020-2021年のアニュアルレポートを参考にしている。
稲盛さんが逝った。大往生である。ここにきて、親しくさせて頂いた経営者が去り、さすがに平成も遠くなりつつある。稲盛さんは、DDIを創業された頃、1、2度面談した以外は、講演などを聞いた程度でしかない。しかし、稲盛さんの後継者のトップや、直によく知る経営者には、親しい方も多く、懇談の場で、いろいろ話を聞いた。
稲盛さんが名経営者であることは間違いなく、時間はかかったが、救済的な幾つかのM&Aも成功したと言えるだろう。ただ、90年代から2000年前半までは、間違いなくワンマンであり、後継者問題は、大変だった印象もある。
永守さんも名経営者であり、特にM&Aでは、稲盛さん以上との評価もあるが、後継者問題はやはり難しく評価を落とした。
90年に、野村総研の「財界観測」に、「90年代の新技術潮流」を執筆、これを「2000年への技術戦略」として出版した。90年代の社会課題等を3つの不、すなわち、「不安」、「不満」、「不思議(未来や科学への憧憬)」と再定義、NEDOプロジェクトを紹介、過去の科学技術予測の成否を踏まえ、日本の科学技術のマクロ的全体像から、技術トレンドを示した。マクロ的全体像では、理工系のメーカー離れや基礎研究費の話題、また、2000年以降、ノーベル賞受賞数は増えるが、産業的な技術競争力は低下すると予想している。その後、ケーススタディとして、フラッシュメモリ、液晶ディスプレイ、リチウムイオン等の二次電池、移動通信、カーナビ等の市場予測、企業におけるR&D戦略などを提言した。我ながら、驚くほど、マクロ的な科学技術動向やケーススタディでの市場予測は当たっている。
当時、日本の技術や経済は世界最強、冷戦終結、また、バブル最中の社会課題は、交通渋滞、地価高騰、環境、公害、あとは癌など病気であり、これらを、エレクトロニクスを中心とした科学技術が解決するかというアプローチをとった。ケーススタディでの、フラッシュメモリ、液晶ディスプレイ、二次電池は、ノートPC、移動通信やカーナビといった、可搬性と省スペース性の軽薄短小キーデバイスであり、交通渋滞や地価高騰という「不満」に対する社会課題には、いちおう、マッチしていると言えるものだった。老いや病気、環境エネルギー問題はいわば「不安」であり、バイオやエネルギーがマッチするが、先の話題であり、また大きい問題であり、その分、切迫性が無かった。宇宙や深海、基礎研究は「不思議」であり、これも時間軸の問題である。ただ、当時、流行したAIやスパコン、その他、多くの国レベル、企業レベルのプロジェクトは、少しアンマッチな印象が多かった。
今日、当時と比べて、社会課題は、少子高齢化、自然災害、引きこもり、空き家、東西対立、国家安全保障、国際競争力低下、失業など「不安」だらけであり、「不満」はあるが我慢していると印象だ。また、「不思議」を思う余裕も減っている。デジタル列島進化論に書いたように、デジタルで、遠隔医療、自動運転、ソーシャルデジタルツイン、エネルギー、カーボンニュートラル。セキュリティ、原子力廃炉、等々、「不安」を直接的に解決してくれる科学技術はどんどん増えている。その意味では意義や意味はアッピールしやすい。
日本版NSTCとなる「次世代半導体製造技術開発センター」のあるべき組織と人事制度について考えた。報道によると、年末までに新たな研究機関「次世代半導体製造技術開発センター(仮称)」を立ち上げ、産総研や理研、東大などと協力して拠点を整えるようだ。新研究機関には企業の参加も募り、①設計②製造装置・素材の開発③製造ライン確立の3分野で研究を進め、量産可能段階では内外企業に技術供与する模様だ。日米、次世代半導体の量産へ共同研究 国内に新拠点: 日本経済新聞 (nikkei.com)
この日本版NSTCは、基礎研究を行うのではなく、あくまで、ビオンド2nm製造技術確立が主目的である。その意味では、ストークスの4象限では、パスツール象限として位置づけだろう。
皆様は、動画を倍速で見たことがあるだろうか?日経の中村編集委員の記事によると、20代は、4割近くが、その経験があり、60代は、3割が動画を見ず、倍速視聴はしないようだ。60代、昭和オヤジ典型の私だが、行動様式は、20代に近い!? 実際、TVも東芝レグザ録画を倍速、決算説明会視聴も倍速で見る程だ。記事によると、倍速消費がAmazonによるルンバ買収の背景であり、消費社会は、タイムパフォーマンスの進化史だという。倍速消費という名の欲望 Amazon、ルンバ買収の必然: 日本経済新聞 (nikkei.com)
これは、交通手段も計算も調理も手術も、あらゆるテクノロジーがスピードアップを可能にして、それに慣れてしまうと、人間のスピード感覚も、早くなるのか、我慢できなくなるのか、分からないが、気が短くなる。皮肉にも、寿命は長くなっているのに。
他方で、「プロセスエコノミー」、「カスタマージャーニー」というように、結果でなく、過程を重視し、ゆっくり、楽しむという消費も膨らんでいる。
DXが叫ばれ、政策でもデジタル庁が期待される。領収書や大量の紙の文書、DXとペーパーレスは。切っても切れない関係にある。更に、手紙レス、FAXレス、領収書レス、判子レスなども、そうだろう。しかし、ともすれば、こうした紙という「ハード」モノを無くし、電子化することだけを目的化していないだろうか。
電子化で一番大変なのは入力である。媒体が何であれ、自動的に、文章や数字、画像が取り込まれれば、共有化もでき、蓄積や検索、計算分析が容易になる。しかし、そのため、一々、多くの情報を手入力し、長々した文章を作成していれば、膨大な時間がかかるし、共有も閲覧もにしくい。
コロナ禍で、医療現場を混乱させているのは、膨大な患者の入力情報である。
ファウンドリの価格戦略を、TSMC、UMC、SMICのアニュアルレポートやForm10-K等の公開情報や報道から分析、考察した。
価格の決定要因は、一般的には、コスト、市況(需給)、競争環境である。コストでは、微細化ノード、マスク枚数、DepやR&Dレベル、その他があり、市況では、微細化ノード別のアプリケーション動向、顧客との関係性もある、競争環境では、全体のシェアや微細化ノード別のシェア、さらに、IPやツール等のエコシステム提供、QCDの中での短TATや機能など新たな価値提供もある。
半導体においては、Mooreの法則の中で、微細化が進み、集積度アップによる高機能化(処理性能向上や新機能)や消費電力削減のユーザーメリットがあり、コストも当初はDepやR&D、立上げの低歩留まりで高いが最終的には、前世代の微細化ノードに比べ、高い性能と低コストを提供する。この価格弾性効果が大きいハイテク分野では、微細化が価格決定と差別化要因になっている。
そこで、重要なのは、微細化が進む中での、微細化ノードのロードマップと、どのタイミング、どういう価格で、前世代ノードから次世代ノードへ切り替わるか、ということになる。
日本の半導体産業の敗因に関しては既に多様で数えきれない指摘がある。ここ数年、半導体不足や米中摩擦問題でマスコミの注目度が上がった結果、半導体の内容を知らないままに、敗因について、ステレオタイプな認識が広がり、誤解を招いている場合も多いように思う。
そもそも、半導体といっても、かつてトップから日本メーカーとしては0となったDRAM、そこそこ健闘しているNANDや、アナログ、パワー、トップを維持している画像センサー、過去からも強くないロジックと、製品毎に、状況は全く異なる。さらに、時期によっても、要因は違うだろう。製品毎の直接的な要因の背景にある日本の電機メーカー全体の問題や、マクロ要因、日本全体の共通性もある。
3シン因分析
そこで、原因を、考案した3「シン」因分析、直接の新因と、本質的な理由の真因、更に深い深因と構造化して分けて考えてみた。普通に原因とされるのは、新因か真因であり、深因は、ある場合にはプラスだがある時はマイナスというような、文化に根差したような避けがたいもので、他のケースにも当て嵌まるようなものである。
製品別と5つの時期に分けたマトリックスとして、それぞれの状況とそこでの直接的な原因、即ち新因を記している。
2025~2030年の最先端半導体の需給構造を分析した。この頃は、ビオンド2nmが始まり、ビオンド5Gや、データセンターも離陸、自動運転も始まっているが、2/3nmと5/7nm合計では、逼迫しそうだ。
アニュアルレポート、米FORM-10K等の公開情報から、TSMC、UMC、SMIC、インテル、アナログデバイセズと国内半導体の競争比較を試みた。
もちろん、TSMC等はファウンドリであり、インテル等は、IDM、インテルはファウンドリも始め、アナログデバイセズはファウンドリを使っているため、ビジネスモデルは異なる。いずれも、営業利益率は30%程度と高いが、ファウンドリは、Dep20-25%、粗利が50-70%、R&Dが10%弱、他SGAが5-10%だが、IDMは、Dep10-15%で、粗利60-70%、R&D20%、SGA10%といったところだ。このビジネスモデルに応じて、開示内容、訴求ポイントが異なる。
興味深いことに、一番開示がいいのが、SMICであり、他には無い詳細なR&Dの内容、人員についてもある。UMCは良くない。インテルは豊富だが生産に関する開示が少なく、計算分析しにくい。ただ、いずれにしても、日本企業と比べ、遥かに親切である。
8月10日にフルヤ金属の決算および中期経営計画の説明会がオンラインで開催された。当初はリアルでの開催予定だったが、コロナ感染拡大で変更され残念だった。
業績は好調~ケミカルが大きく伸びる
2022年6月期は、売上453億円、粗利162億円(36%)、OP131億円、NP91億円と大幅な増収増益。粗利は、セグメント別には、電子15億円、薄膜57億円、サーマル(これまではセンサーだったが名称変更)15億円、ケミカル72億円と、ケミカルが大きく伸びた。
2023年6月期は、売上465億円、粗利182億円(39%)、OP137億円、NP95億円と伸びは鈍化だが、SGAが、R&D費アップやIT対応など、前期の売上比6.8%から9.5%へ一気に増加。粗利のセグメント別は、電子が回復、次世代パワー半導体も対応、26億円、薄膜61億円、サーマルが18億円、ケミカルが73億円。
注目のトピックスは、環境省の脱炭素化の多元素ナノ合金・非在来型プロセスのプロジェクトであり、早大、京大、クボタ、住化も参画。水素触媒では東芝と共同開発。
第3ステージの中期経営計画~グローバルニッチトップからグリーンとデジタルに貢献する5本柱
東芝1Q決算説明会が8月10日にオンライン開催、平田CFO等がプレゼン。投資家アナリストだけでなく、マスコミも多数参加、業績よりも、株主総会や非上場化など再編や今後の経営動向の質問が多かったが、内容や今後の日程も含め、一切、回答は無かった。また、何故か、雑音が入り、聞きづらかった。再編の話はできないだろうが、DXの取組み事例など紹介があっても良かった。
業績はまだ早い
業績は、半導体不足や素材高騰はあるが、それほどサプライズはなく、1Qだけでは、判断は難しく、通期は不変。ただ、諸コストは増加。受注や受注残は平年並みか。やや違和感があったのが、通期セグメント別修正で、デバイスの下方修正である。半導体はパワーも含め好調。加賀工場はキャパ満杯の模様。HDDは足元やや弱いが中長期では強い。
キオクシア
キオクシア1Qの持分損益は122億円だった。
キオクシアHPによると、売上1Qは3673億円、OP851億円(23%)とQ/Qながら固定資産税計上などの反動で減少増益、NP426億円。Dep1037億円。1Q市況は、ビット成長が20%台後半減少など。
西村新大臣言及
MOTは、元来、経済学や経営学に無縁だった技術者を中心に対象としており、1年次の最初に、将来CEO等になる際に、CFO的知見ということで、財務会計やマクロ経済学の授業がある。コア科目として、必修だが、それでもレベル差があり、そのイントロとして、選択の基礎科目を配している(逆に文系出身の社会人のために科学技術基礎などの科目もある)。
当然、担当は、専門のエコノミストやアナリスト、公認会計士が担当するのだが、それでも、理文系に超えられない壁がある場合も多い。特に、マクロ経済学は、理系は、まず大学で履修しない。他方、大学文系は履修するが、そもそも入試で数学が無く、数式を使わず、分かり易くしているつもりが、逆に理系には分かりにくく、社会を知っているので、無理な理想的な前提にも戸惑う。実際、自身も30年前に受けたアナリスト試験(マクロ経済学、財務会計、証券分析の3科目、1次合格後2次がある)では、マクロ経済学が暗記もあり、一番面倒だった。これを解消した本が、長沼伸一郎の一連の名著であり、30年前に腑に落ちない面がすっと理解できた。
今回、ゼミ生から、要望もあり、輪読と演習中心に、8月11日の休みを利用、11-18時まで「オッサンのためのマクロ経済」と称して補講を行った。
MOTの総仕上げであるグラデュエーションペーパー中間発表会と秋入学者の最終発表会を8月6-7日に、朝から夕まで、全教員と多くの有識者からなる助言委員、派遣元の会社トップ、1年生も交え、総勢100名以上がハイブリッドで開催した。
日清紡HD2022年度上期決算説明会が8月10日オンライン開催され参加した。プレゼンは、村上社長および日清紡マイクロデバイスの田路社長から市況等の詳細、調達、開発の他、マイクロ波の市場動向、半導体の調達動向まで開示は驚いた。質疑は、半導体とブレーキが多い。他に、出席は、小洗JRC社長、日清紡ブレーキ石井社長など。
業績
2022年度上期は売上2569億円、OP68→218億円、NP130。マイクロデバイスが増収増益、他は減益。マイクロデバイスはFA向け、マイクロ波も好調、無線通信は、道路関係が不振。
通期は全体不変だが、マイクロデバイスは上方修正。無線通信は不変。他は概ね下方修正。売上は5130億円、OP230億円。燃料電池セパレータ新工場建設、生産キャパを上回る受注から、2020年の200万枚から、100億円投資で2026年には600万枚へ。
マイクロデバイス
アルバックの2021年度(2022年6月期)通期決算説明会が8月10日10時開催。動画で視聴。岩下社長によるプレゼン。
業績
業績は受注2450→2710億円、売上2100→2413億円、OP265→301億円と、大きく上振れ、大幅増収増益、粗利率も30%超え上場来最高。部品不足等もあるが、モノづくり力強化で克服。具体的には、設計バリューエンジニアリング、購買体制一体化、開発設計と九州と東北の生産子会社を一体化、国内、韓国、中国と地域別のサプライチェーン構築。
新年度は受注2700億円、売上2500億円、OP345億円だが、粗利率は33%を狙う。半導体や電子は強いが、FPDがLCD成熟へ。
追い風とリスク
太陽誘電1Q決算説明会が8月3日テレコン開催、佐瀬専務がプレゼン、質疑は増山副社長が適宜参加。市況や業績前提のMLCCに関する細かい質問が多く、インダクタやその他のエルナー関連は無い。
業績
業績1Qは、円安や固定費抑制もあり、売上、OPとも期初想定上振れとのことだが、リスクはあるようで、通期は修正なし。2Qは米スマホも季節性で増え、全体で10-14増だが、複合デバイスが中華スマホ向けに低調で13-17%減。インダクタが36-40%増と強い。
足元の動きはロックダウンの影響で3月以降低調、中華スマホが厳しそう。車等は堅調。MLCC稼働率は、1Qが90→85%、2Q95→85%と下振れ、3Qは90%、4Qは90%へ回復だが従来見通しより低い。流通在庫やBCP在庫は横ばいであり、業界でも在庫調整が遅れている。
中長期の他製品
8月4日ニコン1Q決算オンライン説明会に参加した。徳成CFOがプレゼン、直近、インテルやTSMCの設備投資の下方修正やCHIPS法や米政府の動きもあるタイミングでもあり、多数の質疑があった。
業績1Qは映像上振れを受け、通期予想を売上6200→6250億円、OP500→550億円へ上方修正、精機で上下入りくり、売上250億円、OP50億円分あり。映像上ブレは、円安とマーケティング費用の値引き抑制、ミックス改善。部品調達制約は続き増産が難しい。なお、少し前にマスコミが報じた「一眼レフ撤退」は否定された。
半導体は、インテル等の設備下方修正はあるが、キャンセル等はなく、ファウンドリの上ブレ可能性が減った程度で、他方、中期でCHIPS法のプラス面もあり期待。ASMLやLam等の対中輸出規制に関連して、ニコンにはそういう話は無い模様。
いつもお世話になっている7-11等のコンビニだが、いつもレジで、ビニール袋に入れてもらう時に、困惑する。人にもよるが、差が大きい。
まず、袋詰めの順番だ。効率的なのは、買物カゴから、直接、順番に、袋に入れればいいと思うが、多くの場合は、一旦、テーブルに置いてから、また、袋にいれる。
ずっとアカデミックの世界にいて、企業や業界と付き合いが少ない学者は、実務家というものは、抽象化能力が無いと思っているようだ。それゆえ、実務の世界から教員になった者も、具体的な実例は語れるが、抽象化一般化して、仮説を築く能力が無いと思っているようだ。
他方、アカデミックと付き合いの無い産業界の人間は、学者は、抽象的な話はできるが、具体化能力が無いと思っているようだ。
これは、どちらも間違っているだろう。経営学ですら、欧米では、最初は、工場や企業経営での実例をベースに、抽象化一般化して、仮説を築き上げ、理論化されたものも多い。また、その理論を、学者からコンサルタントになったり、会社に入って、実際の経営に生かしたり、具体的な応用を考えている。
抽象化と具体化は、方向は真逆だが、それを行き来させて回し、あるいは抽象化プロセスで形成される能力は、想像力を鍛え、具体化能力も醸成されるのではないか。実際に、経営者も、具体から具体でなく、具体から一旦は抽象化して、条件を踏まえ、具体化しているだろう。また、具体化する能力は、一旦、抽象化しないと難しい。
これに対し、日本のアカデミックは、抽象から抽象(ある意味、コピペ)でしかない場合が多く、実は抽象化能力もついておらず、従って、具体化能力も身につかないのではないか。そういうプロセスを経験していないから、実務家あるいは経営者が、意識してか無意識かは不明だが、具体と抽象のサイクルを回しているというイメージが無いのだろう。さらに、学会と実業界の相互交流、流動性の無さが、それに拍車をかけている。
米ペロシが台湾を訪問する。中国の空母も接近、米機動部隊も近く、台湾海峡波高しだ。為替も円高、数十年に1度に一触即発の危機かもしれない。
台湾は、中国と米の接点にあり、東側と西側の不連続点にある。それゆえ、これまで、両陣営の「いいとこどり」をしてきたとも言えるし、その緊張感が、ハイテク立国として発展してきたのは、ロシアに接するウクライナ、中東におけるイスラエルと同様である。
歴史的にも、不連続点で、紛争、戦争が起こる。地震も断層の不連続線、雷や竜巻も、気流の不連続なところで起こる。日本列島も地学的にも不連続だらけであり、それが、美しい自然を形成してきた。また、ロシアや中国、朝鮮半島と接し、それが地政学リスクでもあるが、文明文化を発展させてきた。
イノベーションも、不連続点に機会がある。空間的な不連続はもちろんだが、時間軸の不連続でも同様だ。研究と開発、開発と事業化、キャズム、等はそうだ。
ブルームバーグその他の報道によると、 米政府が中国に対し半導体製造装置へアクセス制限を強化されるとKLAとLamがIR説明会で明らかにした。今回は、SMICだけでなく、TSMCやサムスンの中国工場も含まれる模様。米、中国への半導体製造装置の輸出規制強化-主要サプライヤーに通知 (newspicks.com)
米政府は既に10nm以下の半導体が製造可能な装置の大半につき、SMICに許可を得ず販売することを禁止しているが、今回は14nm以下まで拡大される。事態は極めて重大だ。ただ、プロセスノードの定義は各社で差異があり、SMICがEUVを使わずに7nmに成功したように、微細線幅だけでは曖昧だ。
現在、半導体市況は、スマホやビットコインマイニング向けに多い最先端5nmのプロセスより、10nm以上が不足している。14nmまで拡大されると、既に今なお不足な車や産機向けも含め、広範な半導体が対象になる。TSMCやUMCの中国工場も、それなりのキャパはある。
日経はじめマスコミが、「次世代半導体製造技術開発センター」設置につき報道している。日経によれば、米国との窓口になる研究開発拠点を年内に新設、試験的な製造ラインを置き、2025年にも国内に量産態勢を整備できるようめざす。年末までに新たな研究機関「次世代半導体製造技術開発センター(仮称)」を立ち上げ、産総研や理研、東大などと協力して拠点を整えるようだ。新研究機関には企業の参加も募り。①設計②製造装置・素材の開発③製造ライン確立の3分野で研究を進め、量産可能段階では内外企業に技術供与する模様だ。日米、次世代半導体の量産へ共同研究 国内に新拠点: 日本経済新聞 (nikkei.com)
大きい方向性は、著書はじめ、これまで主張してきた通りであり、喜ばしく、経産省はじめ政産官学の努力に敬意を表したい。その上で、ここからの実装が重要だ。
日本のR&Dの問題点は、ストークスの4象限で、パスツール象限(原理探索と実用化の両方を狙う)が弱くなったことだ。元来は、大学は、基礎研究のボーア象限、企業の研究は応用と実用化を狙うエジソン象限であり、電電通研や産総研の前身の電総研等はパスツール象限であったし、理研も、大河内正敏先生は生産技術の泰斗でもあり、パスツール象限を狙い、それが理研コンチェルンに発展した。しかし、90年代以降、電電通研は解体、大学はボーア象限どころか「研究のための研究」象限となり、産総研や理研がボーア象限へ移行してしまった結果、パスツール象限が皆無となった。産総研はパスツール象限へ移行すべきとの論調もあり、努力しているが、実業界から見れば「基礎研究」である。
今回、設置されるべき「センター」は、ビオンド2nmを狙うパスツール象限を狙うべきで、それが、「研究所」でない名前となった背景だろう。
デジタル列島進化論を上梓して、1か月が経った。今回は、日経から出し、日経BP総研と共著ということもあり、かなりの推敲や手直しを行った。その意味では、この10年間では、ヘッジファンドの真実、日本の電機産業に未来はあるのか、日本の電機産業はこうやって蘇る、経営重心、の中でも、丁寧に仕上げた。日本列島改造論50年、参院選のタイミングも狙った。
当初、Amazon事前予約ランキングでは、ビジネスITカテゴリーで概ねベスト3、書店平積になっている、伊藤穣一氏の「テクノロジーが予測する未来」と並んで上位、BS-TVの日経モーニングプラスFTで紹介した頃も概ねビジネスITカテゴリーで10位、ビジネス書でも上位100、全書で1000位とまずまずであった。しかし、その後は、伸び悩み、最近は、全体で数万位である。
産官学連携の重要性は、共通認識だろう。しかし、産官学、それぞれの他者認識は、想像以上に、間違っているのではないか。お互いが相手を知らず、その上で作業を進め、結果、頓挫する場合も多いだろう。
そもそも、産官学の全てを、ある程度の現場現実を知る立場で一定期間、過ごした人間は日本においては難しい。
ミネベアミツミは、貝沼社長の手腕により、Nidecに負けず劣らず、M&Aを戦略的に活用、人財登用も上手い。元々は、機械部品だが、ここ数年、電子部品(ミツミ)や半導体(ABLIC、セイコー)、オムロンの半導体(IBM)、設計のユーシン、そして、今回、本多通信工業のTOBを発表した。本多通信工業株式会社株式(証券コード:6826)に対する公開買付けの開始に関するお知らせ - ミネベアミツミ (minebeamitsumi.com)
本多通信工業は、産業用コネクタの優良メーカーであり、フォローしていたが、実力トップが数年前に急逝、行方を懸念していた。
7月26日に決算発表、業績上方修正、医療機販社のM&Aも発表された。去る3月7日の御手洗会長による中期説明会も併せコメントする。キヤノン、米医療機器販社を買収 北米でCT拡販: 日本経済新聞 (nikkei.com)
決算は、通期業績を、売上3.98→4.08兆円、GP1.8→1.85兆円、OP3600→3760億円、NP3700→3780億円。セグメント別では、プリンティング、イメージングが多い。多くの会社がサプライチェーン混乱で下方修正する中で、上方修正は立派だ。円安もあるが、価格対応やレジデンス力だろう。
日経新聞の夕刊コラム十字路7月27日に、「東芝はどこへ行くのか」と題して、「井蛙」氏が、現在の迷走を批判して、「2017年に上場廃止を避けるためにアクティビスト向けに6000億円の増資を強行したのは完全な誤りだった。あのとき非公開化を受け入れていれば、アクティビスト対応に浪費したこの5年間で再建を果たしていたに違いないだろうから。」と結論づけている。
非公開後に負債が増えること、従業員が被害者である、というのは全く同意である。しかしながら、幾つかの点に反論したい。
7月27日13時~17時半過ぎまで、エレクトロニクス実装学会(JIEP)により、3D・チップレット研究会第1回公開キックオフ研究会が、長瀬産業のナガセグローバル人財開発センターで開催され、17時半前まで参加した。配布資料なく、全てスライドのみ。対面60名、ZOOMも併せ全体で400名を超える参加者があった。
司会は元IBMで長瀬産業、3D・チップレット研究会主査の折井氏、基調講演は、経産省情産課斎藤氏、東大黒田先生、SBRテクノロジーで元IBMの西尾氏、IBMの佐久間氏、ソニーセミコンの岩元氏(ZOOM登壇)であった。
最近、理文融合が叫ばれ、研究イノベーション学会では、電気電子4学会と連携が進んでいる。実際、AIやエネルギー等は、両方の知見が必要である。また、同じようなテーマが、理系学会でも文系学会でも論じられており、さっと眺めただけでは、どこの学会か不明である。
ただ、よく見ると、違いはある。理系学会あるいは、理工系の方が論じると、概念図が多く、文系は、文章ばかりであり、発表でも、キーワードの羅列が多い。あとは、統計分析の要約がある程度だ。
内容は、イントロの社会動向、市場動向、技術動向があり、先行研究紹介等の上で、仮説検証の中で、立場に応じ、技術の詳細や経営経済分析があるわけだが、理系では、経営戦略や収益性競争力の視点が欠け、文系では技術の鵜呑み引用が目立つ。また、何れも、技術の業界構造や収益性競争力への影響や、具体的なビジネスモデルが薄い。
今年も秋の研究イノベーション学会にMOTから教員学生から多くの発表があるだろう。既に、グラデュエーションペーパーの技術経営論文は全員が発表をすることになっており、ビジネス企画提案でも、推奨、わがゼミでは全員に発表を課している。昨年から、教員も研究者として、発表だけはするように勧めており、半数程度が発表したが、今年は全員に義務化した。年に1回位、学会等で発表しないと、研究者とはいえないし、それなら教授ではなく、学生に示しがつかない。このため、昨年は30数件だったが、50件近くになるだろう。
発表は10月末だが、5000字程度の予稿締め切りが9月14日、300字程度の概要が必要な申し込み締め切りが8月1日である。ようやくゼミ学生はMOTの8月6、7日のグラデュエーションペーパーの中間発表会の資料は完成し、300字も目処がついたので、先週から自身の発表準備をしている。
SHIFT社が提唱するDAAE概念を、狩野モデルの、当たり前価値、一元的価値、魅力価値を参考に、QCDSと比較しながら、本質を探った。すなわち、QCDS、それぞれに、3種の意味がある。
EQは、明らかに、当たり前品質をコストとの対比で捉えられる。D(デザイン)は、S(サービス)あるいはU(ユーザビリティ)に関係するが、魅力的な意味があるだろう。Dの中では、3種があるが、一元的価値が中心ではないか。
狩野モデルを、Cのコスト、中でも。R&Dの適性水準に関連させると、当然のR&D、一元的なR&D、魅力的なR&Dに分類される。
R&D水準と成長性を見たところ、テックは一定の相関性がありそうだったが、自動車や製薬は、相関性どころか、逆であった。
有識者会議のファシリテーションは大変だ。2-3時間程で、20-30人の地位も見識もある方が、対面もオンライン参加もある中で、発言順番は決まっているが、貴重で高度だが多面な5分弱のコメントが続く。
MOTのゲストスピーカーの授業でも、30-50人程度の参加では、1時間のプレゼンの後、1時間質疑を受けるのだが、早い者順だと、質疑がバラバラで、纏まりがない。オンラインだと尚更だ。ZOOMなら、チャット機能を使い、こちらで、類似の質問を纏めて、議論に流れが出てくるように、こちらから指名して、質問や発言させれば、ストーリー性が出てくるし、最後の1時間で総括議論ができる。ただ、この場合は、後から重要な論点が出てくると難しい。
SHIFT社が提唱するDAAE概念は、これまでのQCDを超える素晴らしいものでだが、昨年、研究イノベーション学会でも、関連して発表し、この度、上梓した「デジタル列島進化論」でも紹介している。その際、参考になったのが、理工系では有名だが、文系、経営学、経済学の間では、それほどでもない、狩野モデルである。
狩野モデルを参考に、価値創造を、技術価値、マネジメント価値、ビジョナリー価値と定義したが、それぞれが、当たり前品質、一元的品質、魅力的品質、に対応している。DAAEのEQ(エコノミック品質)は、まさに狩野モデルの当たり前品質と捉えると分かり易いとして議論した。いわば、それを超え過ぎて、ユーザーに訴求しないと過剰品質ともなる。
さて、DAAEと比較したQCDも、最近は、派生形として。QCDS(Sはサービス等)があり、これは、むしろ、サービスより、ユーザビリティやメンテナンス性として捉えるといいのではないか。そうして、QCDS(QCDU)と狩野モデルとの対比をすると、DAAE概念が適合する面も多いのではないかと考えた。
R&Dの適性水準に関し、これまで、二つの成果を日経経済教室や研究イノベーション学会で発表している。一つは、適性水準に関する理論的な考察で、売上R%D比率を、成長率、利益率、割引率から導出しようというものだ。また、もう一つは、世界の売上1兆円級以上のテック38社の2008~2018年に関し、売上成長率と売上R%D比率の相関を分析、切片のサンクコスト効果(R%D比率7%強では、相関が見られるが、それ以下は効果なし)がある、というものである。後者に関しては、売上規模が小さい他のテック企業に適用し、同業界での差異が説明できることも解った。
そこで、他業界ではどうかを考察した。なお、前述の研究では、景気変動を無くすため、各年の成長率やR&D比率を平均しているが、今回は、2017年度と直近の2点比較だけである。2021年度はコロナ禍や戦争等やサプライチェーンの影響がり、2020年までとした。
半導体市場は、足元不安もあるが、2030年には100兆円(大幅な円安ならそれ以上)は揺るぎないだろう。経産省半導体デジタル会議では、現在の4.5兆円程度から、2030年の目標を13兆円、累計7兆円以上の投資が必要だとしている。シェアは10%程度から13%に回復であり、妥当なところだろう。しかし、その中身は不明であり、ラフだが、少し試算してみたい。
半導体市況に関し、決算期を迎え、台湾からはネガティブなニュースが増えている。昨年12月の日経クロステックのセミナーや、BS-TV出演でも、2022年夏までに転機を迎えると主張、オムディアの南川氏も同様の意見であったが、マスコミ報道では半導体不足と対照的だったが、今回はプロが当たったか。
相次ぐ慎重発言
TSMCのCEOは在庫調整が23年上まで続き、設備投資も先送りという。Acer会長は川上と川下での認識ギャップを警告、在庫調整や発注削減が起きそうだ。TrendForce調査では、ファウンドリ稼働率が、8φは稼働率低下、12φも成熟プロセスは90%台前半、中には、90%割れリスクもあるという。
日経新聞もトーンを変えた
マスコミでは日経もトーンを変え、「半導体変調」、「在庫調整」などが目立つ。他紙はどうなるか。
半導体変調、身構える台湾: 日本経済新聞 (nikkei.com)
台湾TSMC、4~6月最高益 半導体「在庫調整期」に: 日本経済新聞 (nikkei.com)
パワー半導体の期待が高まっている。ロームでも、設備投資を強化、現在、世界シェア10%で4位だが、2025年にシェア30%以上、売上1000億円以上を目指す。ロームアポロの築後工場に200億円投資、5階建て、2階と4階にCR、キャパ6倍へ。子会社の独SiCrystalなどからSiCウェハーを取り寄せ、回路パターン形成などの前工程を行う。現状6φだが8φ化を目指す。
パワー半導体は、現在のSiベースのIGBTから、SiCとGaNが有力であり、まず、SiCから離陸している。SiC半導体市場は、2019年で400~540億円、2025年で2000億円以上予測が多いが、インフィニオン、STマイクロ、三菱電機、ローム、ウルフ(クリー)などが上位。GaNは10億円ていどであり、ベンチャーが中心である。アプリケーションでは、SiCは、自動車、EVなど、高周波特性が優れたGaNは、5Gや6Gのアンテナも有望である。
VUCAの時代といっても、今回の安部前総理暗殺事件は、驚愕衝撃的だった。226事件、515事件を思い起こし、コロナ、ロシアウクライナ、さらに暗黒の時代に突入するのかと溜息が出る。残念なことに、模倣犯が出れば、公安強化になり、他方で、政治主導の思い切った長期政策が難しくなる。
参議院選挙は、インフレや円安はあるが、コロナも一段落、ロシアウクライナで多くの国民も国家安全保障に目覚め、自民党の大勝利、安定政権の中で、安部悲願の憲法改正もありうるのではないか、と考えていた。また、アベノミクスの継続性から、日銀でもポスト黒田も、急激な方針転換はないと見ていた。さらに、官邸での安倍氏の威光での体制もすぐには変わらないと想定していた。
これが、安倍亡きあと、どうなるかが、極めて重要である。選挙戦での大物政治家の死については、かつての大平総理弔い合戦を思い起こし、自民党にはプラスであろう。ただ、安部派がどなるかは不明だが、岸田総理の求心力は強まる可能性があるだろう。ただ、憲法改正までやるかどうかは、不透明になった。
安部氏は海外で、トランプやプーチンも含め、友好関係があり、ロシア、中国、北朝鮮などとのパイプは弱まる可能性があり、東西陣営に分かれやすくなる。この10年程度の世界を動かしたリーダーの中で、メルケルは引退、トランプはなく、ジョンソンも辞任、習近平やプーチンは西側では孤立、その中で、安部氏は、唯一の東西を結び付けられる政治家であったかもしれない。間違いなく、日本は西側色を強くし、米との関係が強化、その中で、防衛強化だが、憲法改正については米次第か。
ビジネスでも、アカデミックでも、政治政策でも、仮説検証の繰り返しであり、抽象化と具体化を行き来することで、より堅牢になる。
あるべきアプローチ
あるべきアプローチは、まず、スタートは、自分が良く知っている幾つかの具体例であり、それを、先行研究や先行事例や知識を踏まえ、自分なりに、抽象化、一般化、構造化、見える化し、仮説としたうえで、それを検証しなければならない。それだけでなく、その仮説のもとで、実際の現場を想定、これから起こる状況について、想像力を働かして、具体的に考え、特別解を導くことが重要である。されに、フィードバックし、仮説検証を強固にする。他方で、特別解を実際に、5W1Hの中で実証し、成功失敗を繰り返し、特別解にフィードバックする。
こうした、抽象化、具体化、演繹と帰納の反復、理論と実践の反復が、極めて重要であり、それにより、思考や実践力も鍛えられる。DXの本質もここにある。
先日、中曾根平和研究所で意見交換会があり、そこで学んだのだが、最近の海外の半導体政策は、需給という視点があるそうだ。不足の場合は、日本でも、これまでも、今回も、TSMC誘致など政策はあり、人財においても、強化育成策は出る。しかし、供給過剰の場合には、半導体でも人財でも、少ないように思う。あるとすれば、コメの減反、供給過剰の文系博士を企業に押し付けるなどであり、貧弱である。それが、海外は、余る場合も視野に入れて政策をしているようだ。すなわち、国家政策で工場を建設、供給過剰になった場合の対処であり、それに国家が介入するようだ。
今回の日本の半導体対策にもやや視点が欠けている。それで、デジタルインフラのデータセンタや5Gなど官公需において、導入すべきだと提案している。つまり、定期的に、データセンタのサーバーのメモリ等を、入替、調達するのではなく、供給過剰で下落した時に集中調達するのである。多少、在庫は増え、入替は不定期になるが、安く調達でき、需給バランスにはプラスである。これは、金融では日経平均安値で日銀がETF買いをしているのと同じだろう。
日本におけるMOTと、MBAや経営学アカデミックを比較して、その顕著な方法論アプローチの差は、前者が理工系あるいは実践的であるのに対し、後者が理論的と言いたいが、米アカデミックのコピペ輸入主義の差ではないか。
論文の章構成において、MOTあるいは理工系に比べ、MBAあるいは文系は、先行研究が極めて多いが、驚くべきことに、日本におけるケーススタディでも、日本企業を直接リサーチするのではなく、米アカデミックが日本企業にリサーチして得た結果の「理論」を丸呑みやコピペ、更に悪いことには、その情報伝達の過程で、誤解やロスが生じ、肝心な部分が抜けて伝わる場合もある。
クラインのノンリニアモデルは、70年代の日本の家電メーカーの調査の結果であるが、その過程を知らず、結果だけが、遅延して伝わる。
革新的人事モデルも、多くは日本のQC活動を評価したもので、違うのは能力給だが、そこだけ伝達過程で落ちて、伝わる。
サプライチェーン混乱とリードタイム長期化が、需給ギャップと認識ギャップを生んでいるが、台湾等からは慎重な声も聞こえている。
DRAMと汎用MCUとパネルは厳しい
メモリ、特にDRAMは下落が続き、Nanya Technology李培瑛・総経理(社長)は2022年6月23日、22CY3Q市況が予想よりも悪く、DRAM価格も下落が続き、市況好転は最速でも23年になるとコメント。韓国では、21年10月以降、増加傾向を見せていたチップ在庫が5月には、前年同月比53.4%増と過去4年で最悪のピッチで増えた。
汎用MCUは、顧客と流通在庫増で、価格3月比で55%と暴落、コンシューマ向け需要低迷が顕在化している。STマイクロ、インフィニオン、TI等のIDM世界大手がそろって値下げに踏み切った。ただ、ハイエンドはサーバー向けなど堅調という。
パネルはTVもスマホも厳しい状況であり、パネル価格は急落、変動費割れも近く、中国メーカーも減産など、かつてない低稼働となっている。
二極化する台湾テックの見方
TSMC、AUO、Yageo、MediaTek、Acer、Largan、Acctonの台湾テック大手7社の董事長をはじめとする経営幹部が、今年の株主総会で言及した景気見通し分析記事によると、半導体不足や5G推進を背景にファウンドリやネットワーク通信機器業者の董事長が景気先行きに引き続き楽観的な見方を抱えている一方、ノートPC、パネル関係の董事長等が慎重な姿勢を見せたようだ。AUO彭双浪・董事長とAcer陳俊聖・董事長は「市況は既に、かつてのような好調な状況ではない」、「ノートPCは既に供給過剰の状態」と景気低迷に対する危機感を吐露。
ロシアウクライナ戦争の影響で、B2C需要が大きく後退、中国電力価格引き上げで大挙して東欧に拠点を移した仮想通貨マイニング業者も大打撃を受け、LED業者はロシア植物工場向け出荷が途絶える等、影響が広範に及んでいるようだ。台湾サプライチェーンは「景気は22年、総体的には上半期も冷え込み、下半期も冷え込むという状況。サプライチェーンの業績を支えるのが、今年は自動車、ネットワーク通信機器、サーバーしかない」との認識のようだ。
世界のマーケット下落率上位は仮想通貨と半導体SOX指数
日経報道によると、4~6月期の世界のマーケットは各国金融引締めと景気不安に揺れ、金融緩和に沸いたマネーが逆回転し。特にリスクの高い暗号資産(仮想通貨)は急落し、半導体株なども大きく下げた、という。仮想通貨や半導体株が急落 「コロナバブル」逆回転: 日本経済新聞 (nikkei.com)